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トロントの各界で活躍する著名人にインタビュー

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カーロス・ニュートン
Carlos Newton
格闘家
数々の格闘技大会で活躍し、日本では『褐色のサムライ』のニックネームで高い人気を得ている格闘家、カーロス・ニュートン。

10月に行われたPRIDEの試合ではヘンゾ・グレイシーに勝利し、その強さを見せつける一方、私生活ではおっとりした雰囲気と愛嬌たっぷりのルックスを持つ彼が、文武両道の生活ぶりを語ってくれた。

―どういう経緯で格闘技の世界に入ったんですか?


「僕が4歳の時に、空手の黒帯を持つ義理の父から空手を習い始めたのがきっかけ。バージン諸島(注1)で生まれた僕は、10歳でカナダに移住して、15歳になった頃から大会に出始めたんだ。3年間で5回、格闘技チャンピオンになったよ。そして18歳からプロの格闘家として試合に出るようになったんだ」

―親日家としても知られるカーロスさんですが、日本が好きな理由は何ですか?

「これも義理の父の影響で、元々日本の文化には関心があったんだ。それから試合で日本に行ったり、住んだりしたことで、ますます日本が好きになった。 日本人は格闘技というものをとても高く評価しているよね。長い歴史の中で格闘技が尊重され、きちんと保護されているのはすごいと思う。僕が尊重する武士道の精神もそうだけど、哲学があるところが、北米の格闘技とは全く違う点だと思う」

―『武士道』とは、カーロスさんにとってどんなものですか?

「自分が到達したいところへ導いてくれる道。目標を達成するために『何をするか』ではなく、『どうやって』達成するかが大切だというのが僕の考えなんだ」

―カーロスさんの格闘スタイルは『ドラゴンボール柔術(注2)』と呼ばれていますが、何か由来があるのでしょうか?

「『あなたのスタイルは何ですか?』と訊かれて、子供達に分かりやすいように答えただけ(笑)。でも、アニメの『ドラゴンボール』は、闘うことの意義をよく示していると思う。相手をやっつけるのではなく、闘うことで相手の人生に貢献するというのが、ファイターのあるべき姿なんじゃないかな。 僕のスタイルの特徴は、伝統的なものを基本にしつつ、色々な格闘技のスタイルの影響を受けているという点。合気道、講道館柔道、ムエタイなどの要素を取り入れた、ソフトなスタイルと力強さが特徴だよ」

―ライバルの選手は誰ですか?

「まずグレイシーファミリー(注3)。あとは、桜庭和志選手を始めとする日本のトップファイター達とマット・ヒューズ選手だね」

―先程日本に住んでいたとおっしゃっていましたが、その時の事を教えてください。

「大宮と札幌にトータルで2年間住んでたんだ。札幌大学の柔道チームと、大宮高校の柔道部のコーチをしていて、大宮では親しい日本人家族の家にホームステイしてたよ。 僕はお年寄りがみんな外に出てくる、日本の朝が大好きなんだ。お年寄りって一緒にいて安心できるし、色んなことを学べるからいいよね。朝になるといつも近くの吉野家まで散歩して、卵付きの牛丼を食べるのが習慣だった」

―日本食は好きですか?

「もちろん大好きだよ。好物はカツ丼などの丼もの全般。あとは肉じゃがとおからが好き。でも納豆は嫌い。臭いもん(笑)」

―日本滞在中に日本語は上達しましたか?

「日本のファンや友達との交流の中で、多少日本語は学んだよ。カナダに戻って来てからはヨーク大学の日本語科で本格的に勉強を始めて、今3年目。初めは『何だこりゃ?』って思ったけど、最近はだいぶ解るようになったよ。 奨学金で明治大学に1年間留学するプログラムがあるから、ヨーク大学で4年目を終えたら、是非行きたいと思ってる。日本語が話せれば、格闘技の世界でキャリアを積むにも有利だしね」

―格闘技と大学での勉強を掛け持ちでやっているんですね。

「格闘技の方は、毎日朝と午後のトレーニングがあるんだ。試合は日本とラスベガスで、年間に6回から8回くらいやってるかな。あとは大学で心理学と(日本語を含めた)言語学を専攻してるよ。今日も漢字のテストがあるからこれから勉強しなくちゃ」

―そうした生活の中で、今一番興味があることは何ですか?

「病院で脳に損傷がある人のリハビリをボランティアで手伝っていて、それがいま一番熱中していること。回復をよりスピードアップできるような新しい治療のアイデアについての、心理学の論文を書いているんだ」

―将来の夢は何ですか?

「車6台分の車庫と日本式庭園がある家を建てること(笑)。庭園とか日本家屋とかに興味があって、建築の本をよく読んでるんだ。いつか自分の家をデザインしてみたいな。 ファイターとしての夢は、自分の子供に技を伝えること。やっぱり自分の子供には格闘技をやって欲しいね。名前はローニン(浪人)とコーガ(柔道の古賀選手から取ったもの)にするつもり。 格闘技をあと10年くらいやって40歳でリタイアするというのが僕のプラン。それから心理学博士としてクリニックを開くのが目標だね。あとは小さい道場で格闘技を教えながら、自分の子供を育てたいな」

インタビュー/後藤美穂
カーロス・ニュートン
【Carlos Newton】
1976年英領バージン諸島生まれ。柔術系関節技を武器に修斗、PRIDE、UFCで活躍。21歳の時に初来日で出場した『VTJ'97(※)』で、当時の修斗ライトヘビー級チャンピオンだったエリック・パーソン(米国)を1ラウンド41秒、得意の腕ひしぎ逆十字固めで倒して一躍有名になる。現在、中量級選手の中では世界トップクラスといわれ、屈指の人気ファイターの一人となっている。オンタリオ州ニューマーケット在住で、現在ヨーク大学の3年生。

(※)VTJ
修斗が運営する総合格闘技大会、ヴァーリトゥード・ジャパンの略。ヴァーリトゥードとはポルトガル語で「何でもあり」の意で、一般的には非人道的な技のみ禁止という、制約の少ないルールを指す。

■総合格闘技とは?
格闘技が、ボクシング、レスリング、ムエタイ、テコンドー、プロレス、ブラジリアン柔術、柔道、空手、合気道、剣道などの様々なジャンルに分かれている中で、違ったジャンルの格闘家同士が闘い、総合的に一番強い格闘家を決める。
■総合格闘技のルール
噛みつき、目つぶし、金的攻撃などの禁止という最低限のルールのみ。打撃、投げ技、関節技などのあらゆる技術を駆使して勝負する。
■主な総合格闘技団体
プロレス界で活躍した元タイガーマスクの佐山聡が、日本初の総合格闘技大会『修斗(しゅうと)』を開催した。現在では『PRIDE』、や『UFC(Ultimate Fighting Championship)』も有名。
カーロス公式サイト :
www.carlosnewton.com
カーロス応援サイト :
ww5.tiki.ne.jp/~c_newton
PRIDE公式サイト :
www.so-net.ne.jp/pride
修斗公式サイト :
www.alles.or.jp/~shooto
UFC公式サイト :
www.ufc.tv
注1)英領バージン諸島 プエルトリコの東100キロに位置する、60以上の島からなる諸島。
注2)柔術 現在、格闘技の中で最も強いと言われている競技。投げ技、足技などで相手を倒し、そこから関節技や絞め技、極め技などを掛けて相手をギブアップさせる。
注3)グレイシーファミリー 講道館柔道をルーツにした、ブラジルのグレイシー柔術(ブラジリアン柔術)というスタイルを用いる格闘家一族。総合格闘技トーナメントにおける強豪で、中でもヒクソン・グレイシーは400戦無敗と言われている。
▲カメハメ波のポーズをとるカーロスとトレーニングパートナー。

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