bits lounge
トロントの各界で活躍する著名人にインタビュー

ホームへ > インタビュートップへ > 鈴木 光司
BACK NEXT
鈴木 光司
Koji Suzuki
作家
『第25回国際作家祭』に参加するため、トロントを訪れていた鈴木 光司氏。今回は、自ら英語で応答したという公開インタビューを前日に終えたばかりの鈴木氏を訪ねた。

「インタビューは沢山受けているけど、英語は初めてだね。参ったよ。だってさ、海外で暮らした事ないし。まあ、読むほうは英米文学とか読んでるからいいけど、話す方はねぇ…」
と、手に持ったコーヒーを一口。作家先生という雰囲気はなく、活気のある声と、気さくな笑顔にこちらの緊張もほぐれる。作家としてデビューする前は、家庭教師や個人塾の先生をしていたというから、声が良く通るのも納得だ。

「塾では全教科教えてたよ、中学生から大学生まで。その傍らに小説を書いてた。90年に作家デビューした後も、残った生徒が2人ぐらいいて『作家デビューしたから帰れ!』なんて言えないから、教えてたよね。
その頃に住んでいたアパートっていうのがね、信じがたいほど狭いんだよ。35平米の1LDK。その中に寝室と、リビングとキッチン。で、バスルームなんかも配置さてるんだけど、そこに一家4人で住んでいた。でも、別の階にワンルームの部屋も借りてて、そこで執筆したり、生徒を集めて教えたりしてたんだ」

そんな、作家志望の塾の先生がホラー・ミステリー小説『リング』で一躍有名になる。
「ひょうたんからこま。びっくりだよ。初版のリングなんて全然売れなかったよ。これでいけると思ったのになぁって思ってたんだよね。そしたら、4年後に大ヒット。
でも「リング」は、俺の中では毛色が違うんだよね。元々、ファンタジーとかラブストーリーを書いてたからね。ただ、一つのジャンルにこだわりたくはないね。だから、目標とする作家もいない。大体、作家が誰かに憧れるなんてやっちゃダメなんだよ。と、いうのもね、必ず、自分は自分の世界を作らなきゃいけないんだよ。作家っていうのは、一人一人が自分を新興宗教の教祖だと思ってなきゃ。大嘘つくんだからね。『俺の作った世界はこう出来ている』っていうのを提示しなけりゃいけないのに、人が提示したことに巻き込まれていちゃいけないと思うよ」

『ホラーの鈴木光司』にはなりたくないという鈴木氏は、『リング』のイメージを払いのけるような作品を現在構想中だという。
「俺、読売新聞で人生相談やってるんだけどさ、それがまた無茶な話でサ(笑)。会社務めをした事が無いのにもかかわらず、働く女性の人生相談やってるの。で、その相談にえ〜かげんに答えてるんだけど、それって面白いなって思ってさ。もっと突き詰めていってね、コメディーを書きたいなって思ってるよ」
経験の全てが作品の肥料となる作家という仕事。普通の会社勤めよりも苦労が多そうに感じるが…。
「こんな楽な仕事って無いよ。めちゃくちゃ、楽だぜ。通勤はないし、それからね、ストレスが無いんだよね、(本当に? と聞く記者に対して)ないない、そんなもん(笑)。作家やりたくないなんて言ったらばちがあたるよ。ストレスなんてもんはサ、大体、人間関係から起きてくるんだよ。職場に何人もいたら、気の合わない人がいたりね。なんだ、かんだって。無駄が多いわけよ。どっかに営業に行って、一時間待たされたらさ、その時間が無駄になってる訳でしょ? 小説家の場合は、無駄な時間が無い。仕事場に行くでしょ。で、「さあ、始めよう」って、3時間書くでしょ。一日3時間書けば十分だからね。生まれ変わっても小説家になりたいねぇ」

「それに、また男だったら最高だね。男は楽だからね。もちろん、家族は大切にして、コミュニケーションを常に取った上の話だけど。鍛えるのも大好きだしね。常にマッチョは保ってるから(笑)。そんなこと(筋力トレーニング)を頑張ってやると大変でしょ? って言われるけど、そうするのが楽しいんだからしょうがないじゃん(笑)。鍛えて、常にエネルギッシュで。いつまでも(女性に)モテていたいしね。異性に関心が無くなったら、絶対に老けるから」

活発に行動し、人生を楽しみたいという鈴木氏。いつまでも女性にモテていたいということで、特別に女性の読者へのメッセージを戴いた。
「カナダに来ている皆さんを含めて、世界に飛び出していくのは女性の方が多いんだよね、昔から日本の女性はおしとやかって言うけど、いつの時代も女性は積極的で、世界を飛び回ってるんだよね。『女は強くなった』って言われるけど、だったら、強くなりっぱなしジャン。強くなったんじゃなくて、昔から強いの(笑)。だから、これからも世界を飛び回って、好きな事をして、輝いていてください」

インタビュー/西尾 裕美
鈴木 光司
Koji Suzuki
1957年浜松市生まれ。慶應義塾大学文学部仏文科卒。デビュー作『楽園』が第2回日本ファンタジーノベル大賞で優秀賞に。その後、2人の娘を育てながら執筆した『リング』を発表。発表から2年後、『リング』は突如ベストセラーの仲間入りをする。そして、『リング』の謎を解明するため『らせん』『ループ』と続くリング・シリーズを書き上げる。この3部作で「日本のスティーブン・キング」という異名をとり、ホラー作家として名を馳せる一方、自分の経験を元にした子育て本なども発表し、守備範囲の広さを見せている。今回は短編を集めた『仄暗い水の底から』の英語訳本、『Dark Water』を携えてInternational Festival of Authors(国際作家祭)に参加。プライベートでは、格闘技とバイクを愛し、一級小型船舶操縦士免許を保有、セイリングを楽しむなど肉体派。

鈴木光司の3年ぶりの長編。
「シーズ・ザ・デイ〜Seize the Day」
南太平洋で沈んだ一艇のヨットを巡り、16年間も恋人たちを呪縛し続けた謎や愛と憎しみが絡み合う。ヨットと海を舞台にした運命のいたずらともいえるべき、感動の物語。

鈴木光司氏の直筆サイン色紙を2名の読者にプレゼントします。
ご希望の方は、住所・氏名・住所・電話番号を明記の上、郵送またはメールでご応募ください。
郵 送:360 Bloor St. W., #207,     Toronto, M5S 1X1
メール:present@bitslounge.com

プレゼントの応募は終了しました。

E-mail: webinfo@bitslounge.com | Copyright (C) Bits Box. All Rights Reserved.