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トロントの各界で活躍する著名人にインタビュー

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Reiji Yoshioka
Reiji Yoshioka
吉岡 嶺二
カヌーイスト
オンタリオ湖から大西洋まで、約1300キロの行程を完漕したカヌーイスト・吉岡嶺二氏。今回は、定年退職をきっかけに世界に飛び出した吉岡氏のパワーに触れた。

オンタリオ湖から大西洋まで、約1300キロの行程を完漕したカヌーイスト・吉岡嶺二氏。今回は、定年退職をきっかけに世界に飛び出した吉岡氏のパワーに触れた。


「住んでいる所が江ノ島のハーバーの前だったこともあって、友達とヨットで遊んでいたんですよ。でも、みんな働き盛りになるとなかなか集まってこない。ヨットは一人では出し入れし難いから、じゃあ、一人でやれるフネということで探し当てたのがカヌーだったんですよ」
吉岡氏は、カヌーとの出会いをこう語る。約30年前のことだ。その当時、日本ではカヌーといえば競技用ばかりで、ツーリングをするという遊びは一般的ではなかったそうだ。
「だから自分流でやっていくうちに、海のそばに住んでいたし、川下りじゃなくて海沿いに漕いでみようと思った。着いた所にテントを張って寝て、そういうことを繰り返していけば旅ができるだろうと…。その最初の旅っていうのが、結果的に本州一周になったんだけどね。でも、私はサラリーマンだったから休みがそんなに無くてね。休日だの夏休みだの、そういうのを組み合わせてやってたら、全部で23年も掛かっちゃった」


そう話す吉岡氏は、01年に定年退職を迎えた。自由に時間を使うことが出来るようになった氏の次なる目標は海外。カナダ、セント・ローレンス川だ。そして、2年計画でキングストンからオタワ、モントリオールを通ってガスペまでの約1300キロの旅が始まった。
「2年間で35日間(昨年度24日間、今年度11日間)を漕ぎました。昨年はアッパー・カナダビレッジで遊んだり、色んな寄り道をして楽しみましたよ」


時間を競う訳でもなく、距離を競うわけでもない、吉岡氏の名付けて『尺取り虫方式』の行程は、遠路の一人旅という悲壮さは微塵も感じられない。反対にカヌーを旅の交通手段として利用し、旅行を楽しむという明るさとパワーが感じられる。そんな吉岡氏のポジティブな思考が、トラブルもラッキーなハプニングに変えてしまうのだろう。
「去年の最大のトラブルは、荷物と一緒にフネ(カヌー)を流しちゃったことだな。幸い、フネも荷物も警備艇に回収されたけれど、警察署で調書を取られることになった。その後、『今日はどうするんだ』と聞かれたんですよ。どこかにテントを張れる場所は無いかと尋ねたら、裏に庭があるって言う。じゃあそこで…ということで、警察署の裏庭にテントを張って寝たよ」


この『事件』は、『街で一番安全な宿に泊まった日本からの旅人』としてモントリオールの新聞に紹介され、吉岡氏の知らないところで彼を一躍有名人にした。そのため新聞を見た地元民達は、氏を見かけると歓迎し、水などの差し入れをくれたという。
「そういう人との触れ合いは一番素晴らしい思い出となりますね。でも、今年は海を行く旅で人に会う機会が無かった。出てくるのはアザラシだけだもん(笑)。まあ、向こうにしたら人間は珍しかっただろうね」
セントローレンス川は、五大湖と大西洋を結ぶ大河。水源である五大湖を含めれば世界最大の水量である。


「川幅は一番広いところで55キロぐらい。対岸は見えないし景色の変化もない。大西洋に近づくにつれ、川沿いにずっと続いていた民家もちらりほらり…になって来て、断崖絶壁のところも多い。海へ行くとね、寄り道するところが無いんですよ。切り立ったところが多かったり、海岸が波が高くて上陸できない。だから、12時間ぐらいカヌーに乗りっぱなし。そんな中でも最終的にガスペ半島の先端を周ったときは、ああ、これで来たなと思ったね。ガスペ湾に入ると極めて波も落ち着いてね。のんびりと漕ぎました。これで終わったなっていう感じでしたね」

セントローレンス川の旅を2日前に終えたばかりの吉岡氏。さっそく、次のプランがあるというから驚いた。
「もう下見に行ったんですけど、今度はヨーロッパ運河をやる予定です。パリからアムステルダムまで約900キロ。今年の4月にフランスに行って、『カヌーで旅してもいいか』って聞いたら『Oui』って言われた。いいってことですよね(笑)。今度は運河の旅ですからね、波が突然高くなることも無い。楽しい旅になりそうです」
そう言った吉岡氏の日焼けした顔には、溢れんばかりの笑みがこぼれる。それは、こちらへもプラスのエネルギーが伝わってくるような、夢を持つ人独特の表情だった。



インタビュー/西尾 裕美

Shinya Kumazawa
吉岡 嶺二
Reiji Yoshioka
1938年生。神奈川県在住。会社員時代から土曜、日曜、夏休みを利用して少しずつ漕ぎ進む「尺取虫方式航海術」で20年以上かけて日本を一周。今回は五大湖から大西洋へ、約1300キロを完漕した。
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オンタリオ湖から大西洋までの行程

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