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トロントの各界で活躍する著名人にインタビュー

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Ashley Ingram
Ashley Ingram
アシュレー・イングラム
音楽プロデューサー
街中に溢れるヒットソング。時代とともに消えていく曲が多い中、時が経っても色褪せない名曲は、あの時あの人と…という記憶のアルバムを開く鍵となる。

Ashley Ingramその名曲と言われるものの1つに英国出身の黒人シンガー、デズリー(Des'Ree)の『ユー・ガッタ・ビー(You Gotta Be)』がある。この曲のプロデュースで、イギリスのグラミー賞に匹敵する『アイヴァー・ノヴェロ賞(Ivor Novello Award)』を受賞した音楽プロデューサーが、現在トロント在住のアシュレー・イングラム氏だ。

実はイングラム氏は、日本で大人気のチャラ(Chara)、クリスタル・ケイ(Crystal Kay)などのアーティストのプロデュースも手がけている。今回は、現在のプロデュース業以外にもミュージックシーンを揺るがす新しい構想を練っているとの情報を得て、早速スタジオへお邪魔した。
「いらっしゃい」
自宅兼スタジオに招き入れてくれたイングラム氏は、リビングルームのソファに座るや否や、隣に置いてあったスパニッシュギターを抱える。インタビューに入る前に、好奇心からこんな質問を投げてみた。

Ashley Ingram―チャラさんのアルバム『Junior Sweet』(97年)の制作に参加されたんですよね。
「『ミルク』って曲なんだけど、知ってるかな?」
そう言うと、抱えていたギターで弾き語り(日本語)を始めるイングラム氏。アルバムから急遽シングルカットされるほどの支持を得たこの曲は、デズリーの『ユー・ガッタ・ビー』が好きだったチャラが、自らのアルバム曲を制作するにあたり、是非にと氏を日本に招いて創り上げた曲だ。温かで愛情溢れる雰囲気は、イングラム氏の人間性を物語るようだ。 ―早速ですが、業界初の大きな構想とは何ですか?
「ああ、アーティストのプロデュ―スはもちろん続けていくんだけど、同時にアーティストを育てようと思ってる。つまり、ボーカリストのための学校だね。世界初のR&Bスクールだよ」

Ashley Ingram―新人を育てていくところから、つまり、一からプロデュースしていくということですか?
「うん。もちろん、プロデュースしたいと思わせる人も出てくるかもしれないけど、基本的には老若男女、年齢、経験は問わないよ。R&Bが歌いたい人、本当の歌唱力を身につけようと思ってる人なら誰でも歓迎。歌が上手くなくたっていいんだよ。それを教えるのが学校なんだから。例えば日本人には特有の舌やノド使い方、声帯の動かし方があるけど、その矯正やトレーニング法を日本人アーティストを相手に12年以上も行ってきたんだ。特に舌の動かし方などは英語の発音矯正でもあるし、もちろん僕の講義も英語で行われる。英語の習得は必須。そのために、プログラムにはESLコースも含まれているんだ」

Ashley Ingram―最初の授業では何を習うんですか?
「驚くかもしれないけど、R&Bの歴史からだよ。R&Bを歌うならR&Bの事を知らないと始まらない。R&Bとはリズム・アンド・ブルースだね。じゃあ、まずブルースがどこから来たのかを学ばなきゃいけない。ブルースが生まれたその時の人々の気持ちを知って初めて、ソウルフルに歌えるようになるんだ」 そう語るとイングラム氏はペンと紙を取り出し、ミニ講義を始める。
「ブルースは、黒人奴隷が歌を歌って自分達を元気付けたことから始まったんだ。毎日のつらい仕事。それらをこなしていくためには何か、精神を開放するものが必要だ。それが歌だった…」
ギターを弾きながら、R&Bの誕生について丁寧な説明を始め、こう付け加えた。
「今の音楽シーンはだめだよ。ボーカルのレベルがすごく下がっている。音楽について何も学ぶことないまま、見た目が良いだけの、はりぼてのボーカリスト達がステージに立つ。時代の流れは速いから、それらのボーカリスト達はその波に飲み込まれる。でも立ち上がれない。だって、彼らには基礎がないから。コツコツと培ってきた経験が無いからね」

Ashley Ingram―地に足の着いたボーカリストを育てるということですね。でも今までアシュレーさんが学んできたことを、音楽業界の将来のライバル予備軍に教えてしまうのには抵抗を感じませんか?
「教えられることは全て教える。それが僕のポリシー。僕には、僕にしか得られなかった貴重な、そして長い経験がある。その経験は増えることはあっても減ることは無いよね。だから、新しく出てくる人に技を盗まれるから…なんてつまらない理由で出し惜しみはしない。何でも聞いて欲しい。僕から学びとって欲しい。でも、学び取った後にそれを自分のものにするかどうかは、その人次第だよ。まずは気軽にトライして欲しいな」 音楽を心から愛するイングラム氏。音楽へのリスペクトから生まれたこのR&Bボーカルスクールの構想は、近い将来、ミュージックシーンを震撼させるものになるだろう。

インタビュー/西尾 裕美

Ashley Ingram
2005年
Mariah Carey 「GET YOUR NUMBER」共同プロデュース (最新アルバム「THE EMANCIPATION OF MIMI」収録)
cd
Crystal Kay アルバム「Crystal Style」プロデュース
今夏、日本で最もヒットしたアルバムの一つとなった
cd
2001年
Wyolica アルバム「almost blues」シングル「ありがとう」「Chime」プロデュース
1998年
Destiny's Child 「Illusion」共同プロデュース
(1stアルバム「DESTINY'S CHILD」収録)
cd
1997年
Chara 「Milk」プロデュース(アルバム「Junior Sweet」収録)
cd
1995年
「You gotta be」BMI Award受賞
1994年
Des'ree アルバム「I Ain't Movin'」プロデュース 、BMI Award7冠/ 「You gotta be」The British Ivor Novello Award
Best Contemporary Song受賞
cd
1982年
「Just an illusion」発売(100万枚)
「In the heat of night」発売(Double Gold)
初のヨーロッパツアーはSold Out、 その後ヨーロッパ、北米、アジアでライブを行う
1981年
Imagination結成。 アシュレー・イングラム、リー・ジョン、エロール・ケネディの
3人からなるUK初の黒人ダンスユニット。後に、全世界での トータルセールス1500万枚に上るビッグ・グループとなる

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