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Kojun
Okubo
大久保 光純
曼荼羅画家 |
現代的にトランスフォームされた曼荼羅(まんだら)図。その細密な線と美しい色彩は、仏教という宗教を越えて癒しの世界へ私達を導く。
〈インタビュー/西尾 裕美〉 |
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仏教が到達した究極の造形と言われる曼荼羅だが、仏教美術として捕らえるとなかなか鑑賞し難いもの。しかし、そんな私達の手をとって、美しい曼荼羅の世界へ招き入れてくれるのが大久保光純氏だ。今回は、1月末に個展を控えた光純氏に曼荼羅の魅力を伺った。
―曼荼羅は仏教画といわれますが、もともと仏教とは近い位置にいらしたのですか?
「いいえ、全然。お寺関係の方ですか?とよく聞かれるんですけど、実家はお寺じゃないですよ。私の家庭は芸術一家で、母親は美術教師、父親は音楽教師です。そのせいで、家の中には絵と音楽は必ずありました。当然のように絵を書き始めてましたね」
―絵の表面が少し盛り上がっているように見えますが、絵の具は何を使ってらっしゃるんですか?
「『岩えのぐ』って知ってますか? 日本画を描く時には、石を砕いて粉状にした岩えのぐを水と『にかわ』で溶いたものを使います。人工の岩えのぐもありますが、例えば、緑色はくじゃく石、青色はラピスラズリなどを砕いた天然のものの方が、発色が断然きれいですね。通常の色のほかに純金や純銀を使うこともあります。水彩画で使う絵の具と違って、岩えのぐは、粒子の粗さが異なるものは混ぜ合わせません。同じものなら混ぜられなくもないけれど、あまりしませんね。また、人工のものと天然のものは混ぜられません。だから、色のバラエティは豊富ですよ」
―九州造形短期大学の美術科を卒業していらっしゃいますね。日本画を勉強されていたんですか?
「いえ、学生の頃は油絵を描いていたんです。でも、油絵は匂いがきつくて、あまり馴染めなかったんですね。水彩画のほうが自分には合ってるなって感じがしたので、大学を卒業した後に別の大学に聴講生として入り、日本画を勉強しました。油絵と日本画の技法は全く違うんですよ。だから、最初はとても戸惑いました。いちから勉強のし直しでしたよ」
―どのようにして曼荼羅に出会ったのですか? 曼荼羅を描こうと思ったきっかけを教えてください。
「もともと仏教には興味があったのですが、ちょうど『空海』が凄く話題になった時、空海に関する多くの書物を読みました。私なりに色々勉強していくと、平安時代に日本に伝わった曼荼羅が、鎌倉時代、そして江戸時代と時代が変わっていくなかで、その都度、描き直されてることがわかりました。例えば、全く異なった色が塗られているとかね。だったら、現代の曼荼羅があってもいいんじゃないかなって思ったんです。もちろん、曼荼羅の基本的な部分を変えることはありませんが、私なりに解釈して、表現し直したものを描いてもいいんじゃないかと…。自分なりの解釈を取り入れるなら、現代の家にも合うような、壁に掛けられる曼荼羅を描いてみようと思ったことがきっかけですね」
―どのような絵が曼荼羅と呼ばれているんですか?
「曼荼羅には4種類あって、尊像曼荼羅といって、きちんと仏様を描くもの、象徴物曼荼羅といって仏具を入れ込んでいくもの、そして文字曼荼羅といって凡字だけで表現する曼荼羅があるんですね。最後に立体曼荼羅という、実際の仏像を曼荼羅に配置したものがあります。仏像や仏教、密教(明瞭な言葉で説く通常の仏教に対し、非公開な秘密の教義と儀礼を、師匠から弟子へと秘密裏に伝える仏教)が描かれていなくても『曼荼羅』と呼ばれることがあります。最近は日本の喫茶店やブティックの名前に曼荼羅という言葉が入っていることもありますよね。曼荼羅の特徴の一つに調和性ということが挙げられますが、これがイメージとして強調されているものは曼荼羅と呼べるでしょうね。実際、カナダに来て仏像を見かけることが少なくなったので、新作として『花曼荼羅』を描きました。この絵には仏像や仏具はなく花だけですが、調和しており、動的な流れを感じるものなので、曼荼羅と名付けました」
―曼荼羅の魅力は?
「私にとっては色ですね。曼荼羅だけでなく、タイやチベットなど、東洋の仏画も描くんですよ。同じ仏教でも、その国によって全く異なった表現で描かれたり、作られたりしています。その違いが面白く、魅力を感じるんです」
―銀座でも個展を開かれたそうですが、その時の反応はどうでしたか?
Japanese Mandala & Oriental Buddhist Art
独創的で現代的でありながら、古い日本の仏教絵画の魂をも包括する
光純氏の作品は観る者に優しく語りかける…
〈インタビュー/西尾 裕美〉 |
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| 九州造形短期大学美術科卒業後、福岡教育大学で聴講生として6年間に渡って日本画を学ぶ。同時期に日本の仏教画に惹かれ、曼荼羅などの作品を描き始める。また、東洋の仏像を描くためにアジアの仏教国を巡り、東京、福岡を中心に個展を開き、大盛況を得る。03年渡加。現在はトロントに拠点をおき、精力的に活動中。www.kojun.net
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花曼荼羅(一部)
各 54cm×54cm
光純氏の新作。カナダでの初作品は洋間にも合う華麗な花。背景には純金が使われており、気品ある輝きを放っている。『花曼荼羅』として描かれた作品は合計9枚。鑑賞のし易さ、飾りやすさから3枚ずつ、3部に分けられている。 |
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星曼荼羅
100cm×100cm
1番外側の輪は28宿。これは1ヶ月を28日とみなし、一日一日をつかさどる神を表したもの。人は日を司る28宿によって生まれながらにして運命が決まっている(宿命)と言われている。そして、12星座のシンボルと、曜日を司る神。真ん中には釈迦が鎮座し、その頭上には北斗七星が輝いている。 |
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白象
22.7cm×15.8cm
釈迦の母親が釈迦を身ごもった時、白い象の夢を見たことから白象は仏の使いといわれている。タイやスリランカで象が非常に大切にされているのはこの言い伝えによる。
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