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トロントの各界で活躍する著名人にインタビュー

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Pappa TARAHUMARA
小池 博史
Pappa TARAHUMARA代表・演出家
社会によって定義づけされた『あるべき姿』。その姿を追うことに、そして全てにその意味を見つけることに疲れた私達は、船に揺られながら心の奥底に眠るものに気付く。

〈インタビュー/西尾 裕美〉

メキシコはカッパー・キャニオン(Copper Canyon)には、近代西洋文化から離れ、秘境で生活を営むタラフマラ族という部族がいる。1970年代、タラフマラ族のその特異な風土と風習が作り出す、逆らいがたい魅力にとりつかれた青年がいた。小池博史氏だ。小池氏は後に、人々を惹き込むようなパフォーマンスを行なうカンパニーを結成する。それが『パパ・タラフマラ』。タラフマラ族のような不思議な魅力を持った新しいパフォーマンス・グループだ。
今回、世界各国から熱い注目を浴びる彼らが遂にトロントで公演を行なうと聞き、早速、カンパニー代表であり『パパ』の全ての作品の作、演出、構成を手掛けている氏にお話を伺った。



学生の時から演劇に関わっていたという小池氏。カンパニーの名前の由来となったタラフラマ族を知ったきっかけ、鍵になったものは一冊の本だった。
「アントナン・アルトー って知っていますか? 彼の著書でタラフマラという本があるんですが、その本を読んでタラフマラ族に興味を持ちました。それから実際、タラフマラ郷まで行って来たんですが、やっぱり面白い部族なんですね。
例えば、山の中でボールを転がす競技を非常に長時間やっていたりする。彼らは、いわゆる『近代的な枠組み』から考えると考えられないユニークなことをやっています」
しかし『パパ・タラフマラ』は、タラフマラ族の風習を取り入れたオマージュ作品を創造しているのではない。この根底に流れる精神を理解し、追求し続けるカンパニーなのだ。
現代の枠組みにとらわれない彼らのカンパニーは、日本のパフォーミング・アーツ・シーンのなかにあって非常にユニークなグループだと位置付けられている。従来の演劇、ダンス、オペラ、音楽というジャンルを越えた全く新しいモノを創造し続けている。ところが、小池氏はこう語る。
「多分、今の時点で見るからユニークなんですよ。僕がやってるのは、いわゆる演劇であり、オペラであり、ダンスであり、アートであり、音楽であり…だと思うんですけど、今の時点で考えると(それら全ては個々のパフォーマンスとして)セパレートしているので『パパ』はユニークだ、と思われますが、もともとの古典、クラシックではそれら個々の要素は全くセパレートしてないんです。
そういう視点で見ると、パパは最も先端でありつつ、最も古典である、と言えるかもしれませんね」


日本を含むアジア諸国はもちろん、オーストラリア、アメリカ、ヨーロッパ各国で絶賛され続けるパパ・タラフマラだが、トロントでは初公演となる。演目は『SHIP IN A VIEW』。舞台中央には、船のマストのようなポールが静かにそびえ立ち、どこかノスタルジックな雰囲気が漂う。
「僕は日立市の生まれなんだけど、『SHIP IN A VIEW』は僕の故郷の風景なんですね。この舞台では1960年代当時の街の、子どもの目から見た情景を描いています。もちろんそれは僕の故郷であるんだけど、一つの地方に留まらない世界です。音楽を聴くように、空間の中に身を浸すような感覚で見てください」
観客はもちろんのこと、数多くの批評家からも賞賛を受けている『SHIP IN A VIEW』。「批評家の見方というものはどうでもいいこと」と切り捨てる小池氏は、全てのものに意味を求めることが本当に必要なのか、という原始的とも思われる問題を提起してくれる。
「『SHIP IN A VIEW』は視覚的に非常に美しい舞台だと思います。意味を追い求めることや、これは何であるかということを考えて見るのではなく、音楽を聴いたり絵画を見たりする時のように鑑賞してください。結局、それが一番素直な見方だと思うんですよね」


意味を問うことよりも、私達の体の中に眠っている原初の魂を揺さぶる何かを感じること…今まで感じたことのない、もしくは忘れてしまっていたその感覚は私達にどんな衝撃を与えるのだろう。
規則や枠組みの中に知らず知らずのうちに縛られている日常の中で、見えなくなってしまったものをパパ・タラフマラの舞台で感じて欲しい。



〈インタビュー/西尾 裕美 舞台写真/Sakae Oguma〉

※アントナン・アルトー(Antonin Artaud)1896年9月4日〜1948年3月4日。フランスの哲学者、思想家、詩人、作家、演劇人。『残酷演劇』を提唱。晩年は精神病院で過ごす。

一橋大学社会学部卒業後、TVディレクターとして多数のドキュメンタリーを制作するが退職、1982年「パパ・タラフマラ」を設立。以来、カンパニーの全作品の作・演出・構成を手懸けている。また、95年にはパフォーミングアーツ研究所(P.A.I)を開校するなど、若手パフォーマーの育成にも力を入れている。
www.kikh.com

Photo by Sakae Oguma
【パパ・タラフマラ】
1982年、代表・小池博史を中心に結成。日本国内ばかりでなく海外での評価も高く、活動の幅は世界中に広がっている。また近年では、海外アーティストとの共同製作に取り組むなど、絶えず進化をし続けるパフォーマンスカンパニ−。関連施設として、パパ・タラフマラ舞台芸術研究所(P.A.I.)、スタジオ SAIを持つ。

北米ツアー【SHIP IN A VIEW】 を2/18までHarbourfront Centreにて公演。好評を博す。

Information
Photo by Aya Sunahara
東京公演【三人姉妹】
【日時】
3月18日(土)16:00〜、20:00〜
19日(日)14:00〜
【会場】
スタジオSAI
(東京都中野区新井1-1-5 マルハビル1F)
【連絡先】
Tel:03-3385-2066
【チケット】
ticket@pappa-tara.com

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