bits lounge
トロントの各界で活躍する著名人にインタビュー

ホームへ > インタビュートップへ > Mamechiyo/豆千代
BACK NEXT
Mamechiyo
豆千代
アーティスト、モダン着物デザイナー
心躍る春の訪れと共にトロントにやってきたアーティスト・モダン着物デザイナーの豆千代が、やわらかな物腰とシャープなバランス感覚でその世界を語る。

〈インタビュー/西尾 裕美〉

お洒落な人々が行き交うクイーンストリート・ウエストに位置するギャラリー兼ショップ『マジック・ポニー』のショー・ウィンドウを喰い入るように見つめる人たち。視線の先には草履。そして、奥のギャラリースペースの人だかりの中には、決して派手ではないが、その『粋』な雰囲気が水際立つ着物姿の女性、豆千代がいた。
今回は、今や着物好きなお洒落っ子の間だけでなく、全国的に名を馳せるモダン着物デザイナーの彼女にお話を伺った。

―着物に興味を持ったのはいつのことですか?
物心つく前からですよ。小さい時から、なぜか着物が好きな子だったらしいです。母親の持っていた着物に袖を通させて欲しいとねだったり。お祭りなどで着物を着せてもらえる機会があると、脱ぎたくないって逃げ回ったりしたようです(笑)。
でも、着物って高価なイメージがあって、自分で買えるとは思ってなかった。ところが高校生の時に着物の古着に出会いました。自分のお小遣いで買える着物があることを知って、それからお洒落として着物を着始めたんです。

―着物が比較的身近にある家庭環境だったんですか?
いいえ、ごく普通のサラリーマンの家庭です。学校も、もともとグラフィックデザイナーになろうと思ってグラフィック系の学校で勉強していました。和裁とか、着物に関係することは、趣味で学びました。

―デイリーウェアとしての着物を提案しようと思ったきっかけは何ですか?
着物って、何となく動きにくいっていうのが一般の多くの意見だと思うんです。でも、昔の人は着物を着て、毎日の炊事とか洗濯とかをしてたんです。今より、よっぽど動いていたんですよね。それがすごく不思議で、そこから日常着としての着物というもの探求するようになりました。 ―豆千代さんデザインの着物の柄は、変わりストライプだったりパッチワーク風だったりして、とても斬新ですね。スタイリングも、半襟にレース模様を使ったり、ヘッドフォンや帽子を合わせるなど、洋服感覚ですね。
着物が日常着だった時代というのは、その時の流行やニュースを柄に取り入れていたんです。例えば、外国から新しい蘭の花が入ってきたら欄の花が模様になったり、そういう風に流行を取り入れてるのが日常着だった頃の着物だったんですよ。それが、日常着として着物を着るってことを止めてここ数十年、そういうことは途絶えてしまったんです。今、私が柄として起用としているのも昔と同じ。世の中で流行っているものを私が着物として着ているんですよ。
着物を良く知っている人には凄く洋服っぽいと思ってもらえると思うんですが、『着物を洋服感覚で…』と一口に言っても私の場合は『テイスト』で洋服感覚なんですね。着物の丈を短くして着ようとか、ブーツを合わせたりとか、中にセーターを着たりということは一切していないんです。色とか、柄の足袋をあわせることもしてなくて、白足袋のみ。伝統的な着物のルールの中で自由に表現しようとしています。だから、こういうの(写真・モノクロの千鳥に星柄の半襟、ロケット刺繍の帯。後ろには月ウサギとアポロ13号の飛行士が刺繍されている)を着ていても、中高年の方には『懐かしいわね』っていわれるんですよ。昔は絶対になかったと思うんですが、多分、日常着として着物を着るっていうスピリッツが懐かしいと思わせるんじゃないのでしょうか。

―着物を着てみたいけど、いろいろルールがあって難しいなと躊躇してしまいますが…。
そのルールっていうのは、着物の長い歴史のなかで試行錯誤されて出来上がってきたものなんですね。だから、がんじがらめにしようっていう意図で着物の決まり事が出来ている訳じゃないんです。例えば、どうして冬は袷(あわせ)で夏は単衣(ひとえ)なのかというと、冬は寒いから裏がつく、夏は暑いから一枚っていうことなんですね。着物って、生活の中で一緒にいたものだから、当然、そのルールは生活の中で淘汰されていったものなんです。そういう根本的な原理が分かれば、ルールなどを覚えなくても自然に頭に入っていくんですよ。難しいことはありませんから、是非、デイリーウェアとしての着物にトライしてみてください。

多くの日本の若い世代と同じく、子どもの頃から洋服の文化で育ってきた豆千代さん。しかし彼女の中には、着物は冠婚葬祭などの特別な機会にだけ着るものだという感覚はない。着物に対しても洋服に対しても、カワイイと思ったり、かっこいいと思う感覚は同じ。もっと自由に自分を表現するための手段の一つなのだ。



〈インタビュー/西尾 裕美〉
東京・神田生まれ。アーティスト、モダン着物デザイナー、スタイリスト。現代のデイリーファッションとしての着物はどうあるべきかを提案し、モダン着物のカリスマとして年齢を問わず多くのファンを持つ。著書に、『豆千代の着物モダン』(マーブルトロン)、『豆千代の着物ア・ラ・モード』(小学館)がある。
www.mamechiyo.jp
Magic Pony Presents
Mamechiyo The Art of Kimono

[期間] 開催中〜4月3日(月) 
*展示販売
月〜木 12:00〜19:00  
金 12:00〜20:00
土  11:00〜19:00  
日 12:00〜18:00

[場所] Magic Pony (694 Queen St. W.)
[TEL] 416-861-1684
[WEB] www.magic-pony.com

豆千代モダン
東京都杉並区西荻窪にある「豆千代モダン」のショップには、店頭販売限定の作品もある。一度は足を運んでみたい!

〒167-0042 東京都杉並区西荻北3-32-2 ソレイユ西荻
※JR中央線西荻窪下車、北口徒歩6〜7分
TEL/FAX:03-3301-8559
営業時間:13:00〜20:00 火曜日定休

E-mail: webinfo@bitslounge.com | Copyright (C) Bits Box. All Rights Reserved.