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トロントの各界で活躍する著名人にインタビュー

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Mayumi Seiler
マユミ・ザイラー
バイオリニスト

自ら室内楽団を結成し、トロントの古典音楽シーンに新しい風を吹き込み続けるバイオリニスト、マユミ・ザイラー氏にお話を伺った。

<インタビュー/西尾 裕美>


トロントのダウンタウン、カナダが生んだ世界的ピアニスト、グレン・グールド氏を称えて命名された『グレン・グールド・スタジオ』前に人だかりが出来ている。和やかな雰囲気の中、談笑していた人々はスタジオのドアが開くと待ち構えていたように次々と席に着いた。トロント・シンフォニー・オーケストラなどの会場となるロイ・トムソン・ホールと比べるとやや小ぶりのホールだが、座席は満員。その人気ぶりが伺える。司会のナレーションのあと、各楽器を手に登場した室内楽団がステージ上に現れた。『ヴィア・ザルツブルグ』のメンバーだ。指揮者はいない。そのためか、演奏者達の息遣いが直接伝わってくる。リラックスした、温かな雰囲気だ。聴衆の1人はこう語った。「トロントの音楽シーンは、こういう若いミュージシャン達によって活性化されるのよ」と。

この室内楽団を結成したマユミ・ザイラー氏は4人姉妹の3女として日本で生まれ、ザルツブルグで育った。姉妹は4人ともにミュージシャン。なんと、4人でストリング・カルテット(弦楽団)を組むという。そんなザイラー氏が音楽を始めたきっかけ、それはもちろん、両親の影響だったという。
「音楽家を両親に持つと、やっぱり音楽に囲まれた生活になるのよね。だから、音楽を始めたのは両親の影響が大きいわね。子どもの頃から家には音楽が溢れていた。
両親は音楽家であると同時に先生でもあったから、家には父母の音楽家仲間のほかに生徒さんが来ることもあったし、2人の姉達はすでにバイオリンを習っていたしね。いつも家で誰かが演奏していた。音楽に囲まれて育ったみたいなものだから、音楽がある環境が私にとっては普通だったのね。
音楽や楽器が余りにも近くにありすぎて、ベビーシッターに『あなたは何を弾くの?』って聞いてしまったことがあったぐらいよ。ベビーシッターの女性は困惑して、『私は何も弾かないわ』っていったけど、『エー? みんな何かの楽器を弾くんじゃないの?』って(笑)。日本ではみんながお箸の使い方を習うように、誰もが何らかの楽器の弾き方を習うものだと思ってたわ」

ミュージシャンになるための英才教育の場が自然に整う形となったザイラー家で育った彼女の夢は、バイオリンを始めた時から3才の時から変わらず、プロの音楽家になることだった。
「プロのミュージシャンになることはバイオリンを始めた時から決めていた。でも10代になって、ちょっと疑問を持った。本当にこれ(音楽)を続けていていいのかな…もっと違うことをやったほうがいいんじゃないのかなって。でも、やっぱり音楽を続けた。結果的には、疑問をもったことが良い方向に導いてくれたと思うの。自分自身のやってることに疑問を持つことがないのは、逆に問題だと思う。疑問をもち、考える。そして、やっぱりこの道を進もうと決心すれば、それまでよりも強い決心と情熱を抱くことができるから」

音楽とともに育ったザイラー氏は、その伸びやかな音と、艶やかな音楽性で様々な賞を受賞、世界中を飛び回る人気ソリスト(独奏者)となる。拠点としていたヨーロッパはもちろん、日本、香港、北米を周っていたが、やがて、トロントにその拠点を移すこととなる。そこでソロとして海外に出るのではなく、拠点のトロントで室内楽団を結成し、ゲストとして世界の音楽化を招こうという考えにいたる。
「楽団の名前は『ヴィア・ザルツブルグ』。ザルツブルグ経由で私がここ(トロント)に来たから。コンサートはチャンバー・ミュージック(室内楽)シリーズと呼んでいて、私が一緒に演奏したいミュージシャンを招き、グレン・グールド・スタジオで演奏しています。ソリストとして世界中を周っていたけど、今度はトロントに世界中の素晴らしい音楽家を招きたいと思ったの。
『ヴィア・ザルツブルグ』のメンバーが、若い演奏家からすでに名の知られた音楽家までと幅広いのは、トロントでベストといわれる音楽家を集めた結果です。彼らは若くて、ダイナミック。通常なら座って演奏することが多い楽器を立って演奏してみたり、様々な試みをしているので、今までにないクラシックを楽しんでもらえるはず。
観客にとってもメンバーにとっても、国際的に名の知られた音楽家とカナダの若い才能が一緒に演奏することは、めったにないチャンスです。そうやってお互いに刺激を受けることで、カナダ、トロントの音楽シーンがもっと活気付くでしょう」

ソリストとして十分な評価を受けていた彼女が室内楽団を結成し、自ら全てを行なうことは、より多忙な毎日を送ることを選んだように見える。しかし、彼女は微笑んでこう語る。
「結局、音楽が好きなんですね。ソリストとしても、室内楽というグループの中でやるのも…。好きなものを出来ることは幸せなこと。私は好きな音楽をやっていけることに感謝して、その幸せを、出来るだけ多くの人に伝え共有して行きたいと思っています」。




(インタビュー/西尾 裕美)

マユミ・ザイラー/Mayumi Seiler
バイオリニスト、『ヴィア・ザルツブルグ(Via Salzburg)』アーティスティック・ディレクター。大阪生まれ。日本人の母親と、ドイツ人の父親を持つ。音楽家として生計を立てる両親の影響で、3歳からバイオリンを始める。6歳の時、一家でオーストリアへ移住。ザルツブルグのモーツァルテウム音大にて本格的に音楽を学ぶ。現在はソリスト、室内楽団アーティスティック・ディレクターとして活躍する傍ら、トロント大学やRoyal Conservatory of Music で教鞭もとっている。愛器は1740 J.B.ガダニーニ。4人姉妹の3女。4姉妹で『Seiler String Quartet』を結成している。サイト:www.mayumiseiler.com
  Discography
LUDWIG van BEETHOVEN
FELIX MENDELSSOHN
LUIGI BOCCHERINI
Opera con titoli
Mendelssohn: Violin Concertos
Dohnanyi: Piano Quintets;
Serenade for string trio

Via Salzburg Chamber Orchestra Performance
マユミ・ザイラー率いる室内楽団『Via Salzburg』 2005/2006シーズン最終公演
■日時:6月1日(木)、2日(金) 20:00〜
■場所:Glenn Gould Studio
      (250 Front St. W.)
■入場料:一般 $50、 シニア $45、
       学生 $25
■連絡先:416-972-9193、
       416-205-5555(チケット)
■サイト:
www.viasalzburg.com
http://glenngouldstudio.cbc.ca
*2006/2007シーズンは10月5日より開演予定。

 
 

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