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トロントの各界で活躍する著名人にインタビュー

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Symbolon
シンボロン
イラストレーター

不思議な縁が導いた
現在のキャリア
留学先でかけがえのないものを掴み取り、
世界に羽ばたくイラストレーター

母国を離れ、海外で何かを掴み取りたい…そんな思いで日本から飛び出す人は多いだろう。そしてキャリアアップのための語学力を、一生付き合える友達を、そしてこれからの人生を180度変えるような新しい価値観を手に入れて帰国する人もいれば、その地で根を張って生活し続けている人もいる。今回、お話を伺ったイラストレーター・シンボロンも、8年前は大きな夢を持って日本を後にした、一人の若者だったに違いない。

「もともと、英語の勉強でもしようかなとイギリスに行ったんです。でもそこで、不思議な縁に恵まれまして、イラストレーターとして活動を始めることになりました。
実は、日本では洋服屋に勤めていました。美大を卒業したわけでもないですし、イラストの仕事はしてなかったんですよ。でも、子どもの頃から絵を描くのが好きだったので、趣味で書き溜めていたものはあって、それらを人に見せたらカフェに飾ろう、ということになって…」

最近は日本でも増えてきたが、トロントでも、街を歩くと、壁にいくつもの絵が飾ってあるカフェやバーを見かける。そういう店の多くは、『ギャラリーカフェ(バー)』と呼ばれ、客がその店内に飾られている絵を気に入った場合は購入することができる。もちろん売上金の一部は店に入るが、個展を開くよりも比較的簡単に自分の作品を外に出せるとして、作品を飾ってもらうためにカフェやバーに売り込みをするアーティストは多い。
「ロンドンのソーホーという、メディアの中心になっているエリアに、当時は『バー・チョコレート』という店があって、そこに飾らせてもらったんです。そうしたら、(自分の絵が)売れてしまった。そこで、これはお金になるんだ(笑)と思ったんですよね。そこからイラストを本格的にはじめました。人に話すとラッキーだったね、っていわれます」

シンボロンが渡英したのは99年の春。イラストレーターとして活動を開始したのは、なんとその翌年。日本を離れたこと、そして、異国での人との出会いが人生の転機となり、今のキャリアに繋がったのだ。拠点を日本・東京に移した今でも、その契機を作ってくれた友人とは親しくしているという。
「イギリスではエージェントを通して仕事をしていましたが、3年経って、このまま移住するか、日本に戻るか…という選択を迫られた時に、いずれは日本に戻るんだろうなという考えに至りました。それに、海外(を拠点にする会社の広告用イラストを描くなど)の仕事はたまに、ウェブサイトを見て依頼が来ることもありますが、日本の仕事をしようと思ったら、最初は、顔が見えないと(会わないと)…というところも大きかった。だから、日本に戻ってきました」

04年の春に日本に帰国してからは、女性誌『Marie Claire』やファッション誌『VOGUE』日本版への描き下ろし、幅広い着物のセレクションで知られる市田株式会社の振袖のポスター、そして毎日コミュニケーションズが提供する20代のための就職支援サイト、毎日JOB20(ジョブ・トゥエンティーズ)の電車内広告用イラストを担当するなど、大忙しの日々だ。合わせてアメリカやフランスで発行されている雑誌などからもイラストの依頼を受けて活躍しており、日本に戻る決心をしたことは仕事の面では正解だったのではないかと思われる。
しかし、シンボロンはこう語る。
「日本に戻ってもう3年、そろそろ、他のところに行きたくなってきています。もともと、さすらう感じなので(笑)。
日本から出て分かるものや、日本を離れたからこそ感じ方が変わったりすることって多いじゃないですか。そういうものがイラストにいい影響を与えることもありますしね」

昨年10月初旬、アメリカ32の州に、450店舗を持つ、北米最大規模のデパートメント・ストアMacy's(メイシーズ)の女性向け高級セレクト部門『Impulse(インパルス)』のPRビジュアル用イラストにそのイラストが使用された際、サンフランシスコのユニオンスクエア店でのイベントに参加したシンボロン。会場に集まった、300名を超えるイベント参加者からダイレクトに伝わってくるリアクションに、大いに刺激を受けたという。渡米も次の選択肢に入っているのだろうか?
「どこに行くという具体的なことはまだ決めていません。知り合いがトロントに行ったという話を聞くと、トロントもいいかな、と思ったりします。日本での仕事もあるので、時期も選ばなきゃいけないし…。なかなか難しいけど、将来的には、日本の他に2〜3箇所に拠点を持って、年中どこかを周ってるっていう活動をしたいですね」

2月には、夏目漱石の短編小説『夢十夜』を市川崑、松尾スズキら10人の監督が映像で表現したオムニバス映画『ユメ十夜』が京都シネマで上映されるのを記念した回覧展に、10名のアーティストと共に出展、また、3月には東京で久しぶりの個展を開くという。
「商業用イラストを描く時は、クライアントさんがこれまでのイラストを見て、そのイメージで発注されるので、あまり冒険はできません。新しいものを提案しても、それが選ばれることはあまりないんですね。それが当然だとも思いますし…。だから個展では、商業用イラストでは出来ないような、実験的なことを試みるつもりです」

モダン・レトロ・お洒落・キュートと、多くの顔を持つ彼の作品は、常に新しいもの吸収したいという好奇心と、軽いフットワークから生まれるのだろう。進化を続ける彼のイラストがトロントを埋め尽くす日も遠くないだろう。

 



〈インタビュー/西尾 裕美〉

しんぼろん
影絵を基調としたファンタジックかつ、セクシーなイラストを得意とする。04年より活動の拠点をイギリス・ロンドンから東京に移す。日本、イギリス、フランス,アメリカでのエディトリアル・ワークの他、ドルビー・ラボラトリーズやSUPER LOVERS(GOBACK2D)とのTシャツコラボ、アニメーション制作などメディアの枠にこだわらない活動を続けている。
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