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Katsura
Sanshi
桂 三枝
落語家
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落語は人間修業
『笑い』っていうのは、みんなが
共感できる部分がたくさんいるんですよ
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1966年、桂小文枝(後の5代目桂文枝)へ入門し、同年23歳で初高座に上がる。それから約40年たった現在も第一線で活躍し続けている落語家、桂三枝。日本に住んでいる人ならば知らない人はいないだろう。今回は、6月21日にトロント日系文化会館で初カナダ公演を行なったこの人気噺家、桂三枝師匠にお話を伺った。
忙しいスケジュールの合間を縫うようにしてたった一日だけカナダを訪れた三枝師匠、見慣れた着物姿ではなく、濃紺にシルバーのストライプが入った洒落たスーツでインタビュールームに現れた。そして、真面目な人柄が外見にも滲み出ているような師匠は、弊誌の質問に丁寧に、また、真剣に答えてくれた。
―桂文枝師匠に入門するにあたり、お母様は反対なさったそうですね。
「今はお笑いをやる人も多いですが、こういう世界っていうのは昔はね、あんまり賛成するような職業ではなかったんですよ。(収入が)不安定ですし、昔はまず、社会的な地位が低かったですしね。だから母は反対しましたね。でも、僕が決心したなら仕方がないということで、あきらめたんですね。僕は母のために早く有名になりたいなと思いました。そういう意味で、頑張れたのは母のおかげです」
―芸能界(落語界)に入られてから早くに有名になられて、お母様もきっと安心されたのではないでしょうか。
「ええ、この世界に入って、割りと早くにラジオやテレビに出ることが出来ましたからね。でも、早くに有名になったから、いつもすごく不安がありましたね。早くに有名になった分、早くに人気がなくなる、というようなことが多いですからね、この世界は…。いかに長く一線に留まるか、当時からそればかり考えてやってきましたね」
―三枝師匠はオリジナルの創作落語を披露されることで知られていますが、いつ頃から作り始めたのですか?
「創作落語はね、結構早くから始めてました。昔からある『古典落語』っていうのが主に噺されてるけど、新しい落語も作りたい…と思って、一生懸命作ったんですが、初めはうまくいかなかったですね。30歳半ばくらいまでは、なかなかいいものが作れなかった。
古典(落語)の方がいろいろな笑いのパターンがあってね、それがなかなか越えられない。最終的には、古典のほうが面白いんじゃないかな…ってことになるんですよね。やっぱり、古典をたくさん勉強してからではないと、それに勝るものは出来ないんだと思いますね。まあ、(古典落語は)200年以上、その時代、時代の噺家が面白いように作り直してきたんですから。
でも、僕らその当時の若い人間としては、古いものよりは、今、目の前にいるお客さんのために共通の感情が持てるような新しい落語を作りだしたかったんです」
―ブログや携帯メールをされるなど、今も流行に敏感でいらっしゃいますね。
「そうですね。若い頃から好奇心があるというのもそうですが、こういう商売をやっていると、今起こっていることを笑いにしていく必要もありますし。まあ、新しいものに挑戦することがあまり苦にならないですからね。ただ、それがすぐに『笑い』になるというわけではないんですよ。
笑いっていうのは、みんなとの共感である部分がたくさんいるのでね。たくさんの人がブログをやりだしたら、ブログのことを言っても笑えますけど、お客さんの80%が知らないのに、ブログのことをいっても笑えないんですよ。何でもみんなより早く身に着けて、お客さんがそれを知る頃には、自分でお話できるようにしておくことが必要なんです」
―では、「新婚さんいらっしゃい!」での出来事などは、ネタになりますか?
「あれはね、あれを落語に…っていうのは、なかなか出来ないんですよ。というのは、事実の方がずっと面白いんですよ。考えたり、作ったりするよりもね。ただ事実が面白いからってそれをネタにすると、『そういうことはあり得ないでしょ?』ということになるんですよ。でも実際は、現実のほうがあり得ないことが多いんですね。我々は、みんなが『そうそう、そういうことあるある』という、共通して実感できることを落語にしなければいけないので、ちょっと違うんですね」
―落語家からタレントに転向される方もいらっしゃいますが、あくまで落語家を本職とされるのは何故ですか?
「タレントに転向しようと思ったことは一度もないですね。タレントとしての方がうまく笑いをとれる人もいるけど、僕は落語で笑いを取るほうが得意だと思っていますから」
―笑わせることや、落語家としての難しさはどういうところですか?
「人はそれぞれに笑うポイントっていうかね、今日まで生きてきた環境が違いますからね、自分にとっては面白くても、別の人には面白くなかったりしますよね。我々は、笑わせるテクニックというよりも、人間修行というかね、あの人が出てきたら楽しいなって思ってもらえるような修行が大切なんですね。みんなに面白いと言われるようないい人間になることが一番大事ですね」
―ご活躍の場が広い三枝師匠ですが、まだやり足りないことはありますか?
「もっと沢山作品を作っていくこともそうだけど、落語をアニメにしたりとかね。自分の作品を絵本にしたりとかはやってるんですけどね、違った形で、もっともっと、(落語を)広げていければいいなと思いますね」。
〈インタビュー/西尾 裕美〉
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かつらさんし
大阪府出身。1963年関西大学に入学し、落語研究会を創設。在学中に桂小文枝(現5代目桂文枝)に弟子入り。81年、第1回花王名人大賞・落語部門名人賞、第10回上方お笑い大賞を受賞。以来、落語のほか、「新婚さんいらっしゃい」などのテレビ番組をはじめとする各方面で活躍を続ける。06年には紫綬褒賞受賞。現在、上方落語協会会長。社団法人上方落語協会会長、吉本興業代表取締役執事、財団法人いけだ市民文化振興財団名誉理事、函館大学客員教授、関西大学客員教授。www.e-sanshi.net/ |
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