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トロントの各界で活躍する著名人にインタビュー

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Kuniko Kato
加藤 訓子
打楽器奏者
楽器を演奏することで分かる自分のルーツ

強い日差しを跳ね返すようなラテンの音楽や自由なジャズの音色が似合う夏。それらの音楽に柔らかい音色を重ねるマリンバは、学校の音楽の時間に演奏した木琴が大きくなったような楽器である。今回は、そのマリンバ奏者として世界的に活躍する日本人マリンビストの加藤訓子(くにこ)さんにお話を伺った。
現在、アメリカを拠点として活動する加藤さんは、初夏にトロントで行なわれた『クール・ドラミング・フェスティバル』に参加。トロントの音楽ファンにマリンバと打楽器の魅力を広めた。ステージ上の彼女は気迫漂うアーティスト、しかし、実際に会った彼女は華奢で小柄、愛らしいイメージの女性だった。

―音楽は何歳の時から始められたのですか。
「2、3歳の頃にピアノから始めました。でも私、手がとっても小さいんですよ。結構がんばってやってたんですけどね、行き詰まりは感じていました。中学生の頃、ピアノは思うように弾くことが出来ないけど音楽は続けたい、と思っている時にマリンバと出会う機会があったんです。すごく衝撃的な演奏だったわけではないんですけど、とても身近に触れることができたんです。マリンバの柔らかい音に、『これは…』と思いました」

―ピアノからマリンバへの転向で苦労したことはありましたか?
「マリンバは打楽器ですが、鍵盤になっているので、打楽器の中でもすごくピアノに近いと思いますよ。音色がピアノにちょっと近い。マレット(バチ)を4本まで持ちますから、ピアノと同じで、コードが取れるんですよ」

―マリンバも大きな楽器ですよね。加藤さんのように小柄だと演奏しにくいのではないのですか?
「そうですね。マリンバは大きな楽器だから、(演奏中は)すごく動きますよ。(体格のハンディは)身体をうまく使えばいいんです。手の長さは身長に比例しますが、身長が違うっていっても結局20〜30センチのことじゃないですか? だから、身体をちょっとシフトさせれば届きますよ」

―現在はアメリカを拠点として活動していらっしゃいますね。
「ここ3年ぐらいはアメリカに住居ができたので、向こうで落ち着いていますが、日本へもよく帰っていますよ。ソロコンサートやリサイタルなどで東京、横浜、それに富良野や山梨、豊橋など、地方へもよく行っています。
日本には、公共の良いホールが数限りなくありますけど、そういう、『西洋のものを観るところ』でやるのは、おとなしくしなければいけない感じがしますが、打楽器の場合はそうでもありませんよ。打楽器は身近なところにある楽器ですので、もっともっと触れて欲しいですね」

―マリンバのほかに、どんな打楽器を演奏されるのですか?
「何でもやりますよ(笑)。打楽器って世界が広くて、まだまだ知らない楽器もあるんですけどね」

―では、いま、一番興味があるのはどの楽器ですか?
「私はマリンバから始めたんですけど、音大に入って、打楽器の世界が広がっていくうちに、(マリンバ以外の)打楽器のシンプルな良さにハマっていた時期がありました。反対にマリンバのほうには、ピアノから比べると楽器としての限界というか、弾ける曲の限界を感じて、離れていた時期もありましたね。
でも、またマリンバに戻ってきた感じなんです。やっぱり自分にとって大事な楽器だということと、マリンバ自体がかなり開発されて、大きくなっていったこと、それに、世界的にここまでかなっていうところに到達して、落ち着いてきたことがありますね。難しい楽器ですが、私の中でマリンバはまたメインになってきています」

―打楽器の良さって、誰でも叩けば音が出て、演奏っぽいことができるところだと思いますがどうですか?
「打楽器って面白いですよね。私も一般の向けのワークショップをやるんですけど、ただ木を置いただけのアフリカの『ドラム』を50人ぐらいで叩くんです。いろんなことを考えすぎず、フィジカルに楽しめること、それにダイレクトに音楽を体感できるのがいいですよね。
もともとマリンバは、アフリカの民族楽器がルーツであるといわれています。木の板の裏に小さなひょうたんを付けた木琴が、今でも民族楽器として親しまれています。人類のルーツもアフリカであるといわれますし、音楽と人の身体には、共通するプリミティブ(原始的)な魅力がありますね」

―身体の中に持っているルーツへの意識が呼び覚まされる魅力ですか?
「そうですね。私は自分の身体に興味があっていろいろやってるんですが…。例えばヨガとかね。でも、『叩く』という運動は特に、アルファ波(注)が出るので身体の回転にとって良いのではないかなと思いますよ。
最終的には音楽って…、普通に話すとおかしいんですけど、宇宙的存在にどれだけ近づけるかだと思います。空手道とか『道』がつくものは、結構そういう教えがあって、その道に、どうやって自分の足で立つのかというのが大事なんですね。宗教的なものを信じてるわけではないですが、精神的なものは極めていきたいなと思っています」

(注)安静(リラックス)時に多く発生する脳波。




〈インタビュー/西尾 裕美〉

かとう くにこ
マリンバ、パーカッション演奏家。桐朋学園大学卒業。同大在席時から単独渡欧、ロッテルダム音楽院では、打楽器奏者として史上初のクムラウド称号を授与され、首席で卒業。その後も数々の音楽祭で賞を受賞するほか、2000年、01年と連続で米国パーカッシヴ・アートソサイエティーより世界35人のマリンビストに選出されている。現在は米国に拠点を置き、日本はもとより、アジア各国、欧米でグローバルに活躍中。www.kuniko-kato.net

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