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Nobuhiro Yamashita
山下 敦弘
映画監督
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| 澄んだ空気と自然の中で |
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| 見渡せば山と川、縁側にはニワトリと猫、田んぼとあぜ道に囲まれた田舎に住む女子中学生、そよ。ところがある日、彼女の通う分校に、東京からクールでかっこいい転校生がやってきて…。人気少女漫画家くらもちふさこ氏の代表作『天然コケッコー』はそんな場面から始まる。東京育ちの彼に影響されながら初恋を経験し、一歩ずつ大人に近づいていく少女の、純粋で甘酸っぱい煌めきを繊細に描写して大きな支持を得たシリーズだ。累計売上140万部を記録したというこの人気作品は映画化され、日本では今年夏公開、カナダでは9月に開催されたトロント国際映画祭で上映された。そこで今回は、映画版『天然コケッコー』上映に合わせてトロントを訪れた山下敦弘(のぶひろ)監督を映画祭事務局に訪ねた。
心が和むような自然をバックに活き活きと描かれる子どもたちの姿が眩しいこの作品、原作のもつ、柔らかな雰囲気をそのまま受け継いでいる。
「くらもちさんの大ファンだという、脚本担当の渡辺あやさんと話して、原作が十分素敵だから、原作の通りにやろうということをテーマとしたんですよ。そうするには、オリジナリティとか、自分の癖は出しちゃいけないんだな、と思いました。ちょっとは出てると思うんですけどね」
原作という制限がある中での制作は初めてではない山下監督、しかし、聞けば撮影は大変だったようだ。
「山下、よくがんばったなって、感じですね(笑)。
(撮影中の)苦労は色々ありました。島根県の浜田というところでロケをしたんですけど、あそこにいると、なんかこう気分がのんびりしちゃうというか、まったりしちゃうんですよね。それが大変でしたね(笑)。
子ども達については、今回は下は5才から上は中学生までというキャスティングで、とにかく、子どもが集まると無茶苦茶なんだなって言うことは分りました。あれだけ年齢に幅のある子達を集めて、一緒に芝居させるっていうのは大変ですよ。それも狙いだったんですけど、子どもだから、しゃべっていることはバラバラ。それに、子ども達が集まると、学校じゃないですけど、独特の関係性が生まれますよね。派閥とまでは言わないですけど、この子とこの子は肌が合うな…とか、そういうのもなんとなく感じ取れたりして、学校の先生って、こういう気分なんだろうなって思いました。こっちの子に話しているから、あっちの子はすねちゃってるな…とか、気を遣ったりして(笑)」
温かな眼差しで見守る山下監督の目の前で、出演した子ども達は実際に撮影の間に大きく成長。それは時に、監督を困らせた。
「特に一番小さい子は、撮影の間もそうですけど、最初に会った時は撮影の半年以上前だったので、その時と比べると、だんだん大きくなってきてるなって分りましたね。それに、夏の撮影が終わって、次に1ヶ月ぐらい空いて秋の撮影に行く時、歯が(生え変わりで抜けて)なかったり(笑)。だから、入れ歯とかつけてましたね」
監督が今回の出演者の子ども達に初めて会ったのはキャスティング・オーディションだ。
「今回、出演した子ども達は全員オーディションで決めました。とにかく、いろんな人に会いたいなと僕が思ったのと、原作があるので、原作のイメージ(に合ったキャスト)を探したいという理由です。主演の夏帆は、髪を下ろすと都会っぽいんだけど、お下げにするとすごく田舎の風景に馴染むんですよね。そよのお父ちゃんとお母ちゃん役には、原作のイメージからいろいろ探していった中から、佐藤浩市さんと夏川結衣さん。ただ、(そよの初恋相手の)大沢くんのお母さん役をやった大内まりさんは、オーディションというか、いろいろな方に会っていく中で、出会った方だったりしますね」
感受性豊かな、思春期独特のドキドキ感を爽やかに演じる子どもたちの脇で、のんびりとした田舎を思わせ、ひと息つかせてくれるような動物たちの演技もこの作品の魅力の一つだ。
「動物も、いろいろ探していく中で見つけたんです。まず、ニワトリはロケハン(撮影場所の下見)してる時に見つけたました。チャボという、小さめのニワトリなんですけど、かわいらしい印象だったのでお借りしました。
あと、猫もお借りしてます。もともと(撮影に使用できる)家を探してロケハンしていたら、その家に猫がいて、スタッフ全員で遊んでいたんです。そうしたら、猫の名前が『大沢』っていって(主人公の男の子と)同じ名前だったので、すごい運命だと思って(笑)。それで出てもらったんです。え、猫のカットが一番好きですか? そういう人もいらっしゃいますね(苦笑)」
インタビューの最後に、映画以外で監督を夢中にさせるものについて伺ってみた。
「そうですね…。いや、結局映画ですね、興味があるのは。何でかって聞かれると答えるのは難しいんですけど、小さい頃から映画が好きだったんです。人並みに好きだっただけなのかもしれませんが、僕、小さい時にあちこち、転校したんですね。周りの環境が変わるなかでも、映画はずっと一緒に育ってきたというか…。友達がいなかった時とか、映画に助けられたりしたこともあったんです。大学も映画の関係だし、ずっと映画と一緒。腐れ縁みたいなものなのかもしれないですけど。
まあ、かっこいいですしね、映画って。暗闇の中で…。さっきもドキュメンタリー映画を見てきたんですけど、会場の電気が消えると、ここがトロントであることを忘れて、映画の中に入ってしまいますからね。そんなところが映画の魅力なんだと思います」。
〈インタビュー/西尾 裕美〉
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やました のぶひろ
1976年生まれ。大阪芸術大学映像学部入学後、短編映画を製作。卒業制作で初の長編『どんてん生活』を発表、2000年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門にて、グランプリを獲得。代表作に『くりいむレモン』(04)、『リンダリンダリンダ』(05)、『ユメ十夜第八夜』(07、オムニバス)、『松ヶ根乱射事件』(07)がある。 |
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『天然コケッコー』
全校生徒6人の分校にある日、東京からイケメンが転校してきて…。
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