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トロントの各界で活躍する著名人にインタビュー

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Daisuke Izutsu
井筒 大介
和食料理人
トロントで嗜む日本文化

06年のオープンから、トロントの「NOW」誌をはじめ、多くのグルメを唸らせている日本料理レストラン『kaiseki-SAKURA』。今回は、同店のシェフ、井筒大介さんがトロント・ナンバーワン・シェフの称号を勝ち取ったと聞き、早速お話を伺った。

―まずは、トロント・ナンバーワン、おめでとうございます。
「ありがとうございます。今回の賞は、「Gourmet Food and Wine Expo」というイベントと、「NOW」誌が行った読者投票の結果だったんですけど、料理評論家だけでなく、一般の人からの投票も評価に反映されているところがうれしいですね。うちに食事に来て楽しんでくださった方だけでなく、まだ来てくださったことのない方、新しいレストランができたから一度行ってみたいな、と思っている方の期待の票も入っていると思うんですね。光栄だと思うと同時に、責任感も感じますね」

―日本からトロントにお越しになったのは2001年のことですね。
「公邸料理人という職業があって、いろんな国の大使の公邸とか、ニューヨークにある国連へ、希望があれば料理人が派遣されます。昔の職場の後輩が国連の料理人をやっていて、面白そうだなと思ったんです」

―日本にいらっしゃった時から海外に目を向けられていたんですか?
「和食の料理人になって、最初はね、和食の中に英語なんて必要がないって言うかね、たとえばホテルで働いていると、地下3階をB3(ビーサン)と言ったり、閉店をクローズって言ったりしますよね。でも、何で自分の言葉(日本語)を使わないんだろうっていう、そういう思いがあって、まさか、自分が海外に出るなんて思わなかったですね」

―では、トロントで初めて、「海外で料理を作る」ということになったんでしょうか?
「いえ、97年にドイツでベルリンの壁崩壊10周年記念のイベントがあって、そこでドイツ政府が、世界中の食事を集めたワールドグルメフェアっていうのをやったんですよ。縁があって、その時の日本代表のメンバーとして選んでもらって、それが海外に出る初めての機会でした。その時に、色んな国の人たちと知り合いました。(彼らとは)言葉も違えば、バックグラウンドも違います。でも、白衣を着て、美味しいものを作って、お客さんを喜ばすことは共通していました。その後に公邸料理人の話があったんです。今になって思えば、あの経験をしたことで海外に行ってみようと思ったんじゃなかろうか、と感じますね。クローズだ、閉店だっていう小さいことではなく、そういう経験をして心が動いたというかね、その中で公邸料理人という職業へ興味が沸き、トロントの方に来させてもらったんです」

焼き物:鯛(めでたい)、酢の物:紅白なます・寿海苔(縁起物)、南天の葉(難を転ずる)

―料理人になろうと決めたのはいつ頃だったのですか?
「面白いのは、幼稚園を卒業する時の卒園アルバムってあるじゃないですか? 将来は、何ナニになりたい…っていうやつですが、それに、僕は将来はコックさんになりたいって書いてあるんですよね。だから、幼稚園の時(笑)。面白いなと思いますね。
本格的に料理人を目指したのは、どうかな、庭師にもなりたいな、って思ったこともあったので…高校の時かな。アルバイトも飲食店でしかしたことがないですし。僕の父親の実家が、和歌山でお店をやってるんですね。その影響かもしれません。あと、僕、食べるのが好きで、昔は肥満児だったんですよ。おなかが痛くなるまで食べていた。だから、食べることには小さい時から興味がありましたね」

―数ある料理の分野の中から和食を選んだ理由は?
「日本人は和食でしょう(笑)。まあ、フレンチとか、和食以外の料理人になるって思ったことはなかったですね。
むきもの(飾り切り)とかをするのが好きだったり、プラモデルを作ったり、壊れたラジオを直したり、細かい作業が好きだったからでしょうかね」

炊き物:栗きんとん(商売繁盛)・黒豆(まめに働く)、鈴くわい(縁起物)、昆布の堀川牛蒡巻き(喜ぶ)、たたき牛蒡(豊作)、松竹梅に模られた野菜(縁起物)
―今回は弊紙の表紙撮影にご協力いただきありがとうございます。用意していただいた料理は日本人には馴染みある正月料理ですが、海外では、日本食イコール、寿司という概念が定着しています。『kaiseki-SAKURA』では寿司はおいていらっしゃらないですね。
「そうですね。(和食は寿司というイメージがある)その中で、カナダの人に”新しいもの“を提供するのは大変ですが、やりがいはありますよね。日本には、こういうものもありますよというのを知ってもらいたい、お酒も沢山ありますよ、焼酎もあります、日本にもシングル・モルトのウイスキーがあります、と教えてあげたり、オファーして伝えていきたいと思っています」

蒸し物:白髪伊勢海老(長寿)

―和食の良さとは何でしょうか?
「日本では、文化として『食』が育ってきたんですね。反対にカナダなんかは、産業としての食事、つまり、食というものが産業として発達してきたと思うんです。文化っていうのは、これからも育っていきますが、日本には長い歴史があって、なぜ、これがこういう風に作られていったのか、だから、これとこれを組み合わせるとこうなる、というものがあり、成り立ってるんですね。そういう中で料理を作り、食べてもらう。それが良さでしょうか。
もちろん、ヘルシーだとか、和食は翌日まで残らない(胃もたれしない)という良さも一般的にありますけど、それよりもっと深いところに和食の良さがあるんじゃないか、と思いますね」。


〈インタビュー/西尾 裕美〉
いづつ だいすけ
2001年、当時のトロント総領事・肥塚隆氏のプライベートシェフとして渡加。3年の契約終了後、スーパーシェフとして高名なMarc Thuet氏のもとで一年間働く。その後、自らのレストラン『kaiseki-SAKURA』をオープンさせる。07年11月に行われた「Gourmet Food and Wine Expo」にて、トロントのベストシェフ9人の一人に選ばれ、さらに「NOW」誌の読者投票により、トロント・ナンバーワン・シェフ(2007年度)に輝く。
http://kaisekisakura.com

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