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Linda
Kako Caplan
リンダ 歌香 カプラン
琴演奏家 |
| 2008年の新春は、伝統楽器の音色に遊ぶ |
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箏曲『春の海』や『さくら さくら』などで馴染み深い琴の音色。日本の伝統が感じられる雅やかな音で、新年の雰囲気を盛り上げてくれる楽器だ。
今回は、琴を演奏して25年、昨年7月には日系以外の外国人としては初、もちろんカナダ人としても唯一の大師範の称号を与えられた琴演奏家のリンダ
歌香 カプランさんにお話を伺った。
音楽一家に育ったリンダさん。スタジオ兼、自宅にお伺いすると、リビングにはピアノが置いてある。
「私はクラシック音楽のトレーニングを受けているの。ピアノを始めたのは4歳の時。聖歌隊で歌っていたこともあるしギターも少しなら…。私の家族は音楽一家で、プロ・アマを問わず、みんなが何か音楽をやってるわ」
子どもの頃から、ラジオから流れてくる音楽を聴き、そのままピアノでその音が再現できたというリンダさんは、プロのピアニストになることを期待されていたという。そんな彼女が『琴』と出会ったのは日本食レストランだった。
「今はもうないけれど、トロントに最初にできた日本食レストランのひとつで、クイーン通り沿いにミチという日本食レストランがあったの。そこで初めて日本食”テリヤキ・白いご飯・緑茶“を食べた。日本料理は私にとっては未知のもので、ユニークだった。だから、ちょっとお金に余裕ができたらその店に通っていたの。そのうち、店内で流れる音楽が気になり始めたのが琴との最初の出会いね。
実は、最初はあまり琴の音を好きになれなかった。でも、2回、3回と繰り返し聞き、店で流れる音楽の録音の質も良くなったりしたことで、だんだん『そんなに悪くないじゃない』と思い始めたの。それで、琴のレコードを買おうと思って世界の音楽を扱っているレコード店に足を運んだ。その頃ビートルズが全盛期で、彼らの最新アルバムが5ドル99セント。でも、琴のレコードは15ドル99セント。高いな…と思ったわ。だから、自分で弾いてしまおうと思ったの(笑)」
それから、数少ない先生や学校を見つけて琴を学んだリンダさん。琴の演奏に関しては25年もの実績を持ち、その実績が認められて昨年、大師範の称号を与えられた。
「お免状をいただくのには、実演試験と筆記試験があります。筆記試験は3時間に及びます。私は特別に問題を英訳してもらい、英語で答えることを許していただいたの」
日系人でも日系の親類がいるわけでもないリンダさんが、日本語はもちろん、作法や文化に対応し、免状を取得することは、私たちが考えるよりもはるかに大変なことだっただろう。
「そうですね。でも私の所属する筑紫会は、細かいことを指摘することはなく、『あれはこうした方がよかったわね…』と教えてくれる。リラックスしたというか、フレンドリーな雰囲気なので気は楽ですね。作法を少し間違えてしまって正していただいたら、『すみません』と以後、気をつける(笑)。
それに、筑紫会を創設した筑紫歌都子(ちくしかつこ)先生はすごく西洋音楽への理解があったの。彼女は邦楽を現代化させなければこのまま絶えてしまうのではないかと懸念されて、学校の試験の一つに西洋音楽セオリーを取り入れたのよ」
故・筑紫歌都子氏はバイオリニストを目指していた人で、西洋音楽に深く通じていたという。
「私はピアノから音楽に入ったから、その点では通じるものがあったわ。でも、琴の譜面は漢字で書かれているし、音もいままで聞いてきたものとはまったく違うから初めは戸惑ったわ。
それに、西洋の音楽を知っていることが琴を習う時には必ずしも有利に働かないこともあるのよ。例えば、ギターを弾く時には習慣的に行っている演奏テクニックなのに、琴ではやってはいけなかったり…。一度習ったことを習い戻すのは大変。反対に何も楽器を習ったことのない人は真っ白な状態から学べるので、戸惑うことは少ないわ」
個人差はあるが、人前で弾いても恥ずかしくない程度までに上達するのには大体3年から5年くらいだという。
「”弾ける“というのをどのレベルで考えているかにもよるけど、『さくらさくら』だけを弾きたいのなら一日で教えることはできるわ。でも、それ以上は個人差があるから一概には言えないわね。琴の弾き方を学ぶ過程では、日本の文化を知らなければいけないから、ひと言で”弾けるようになる“といっても、その意味は深いのよ(笑)。 特に、古曲は古今集とか古今和歌集の詩を元にして書かれているから、意味を知ることも大切。本を読んだり、先生が『この部分の詩は、ロマンティックな意味を持ってます』と教えてくれれば、その感情を音に反映させたり…。音楽を通じて、その国の文化をより深く知ることができる。だから、04年から日本では、教育省が邦楽の学習(和楽器活用)を中学校の必須科目のひとつに組み込まれたのだと思うわ」
リンダさんのスタジオ(教室)を拝見すると、中央に琴が置かれ、”お月謝袋“と書かれた封筒があった。
「できる限り日本の教室様式に合わせているの。ご挨拶も日本語だし、琴のテクニックも日本語のまま教えます。演奏用語以外には英語を使うけれど、生徒さんが日本語を理解するかどうかは関係なく、用語は日本語のみ。だって、いつ、どんな機会があって、生徒さんたちが日本の先生(宗家)とお会いするか分らないでしょ?」
そう言って笑うリンダさん、今年夏には日本から先生方をお迎えしてイベントを計画中という。いつ、どこであるか分らないと言ったその『機会』は、すぐそこまで来ているのかも知れない。
〈インタビュー/西尾 裕美〉 |
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りんだ かこう かぷらん
トロント在住。福岡市に本部を置く筝曲生田流筑紫会の大師範。『歌香』は名取名。琴演奏家として活躍する傍ら、ヨーク大学で邦楽科の責任者を務める。またトロント市内で琴、三味線の個人指導を行う。3月1日(土)に日系文化会館の『春祭り』で演奏予定(詳細は次回号以降のbits日系ニュースを参照)。www.lindacaplan.com
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