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トロントの各界で活躍する著名人にインタビュー

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Yung Yung Tsuai
ユン ユン・ツァイ
振り付け師
伝統的な中国舞踊で旧正月を祝う
『The Chinese New Year Spectacular』

旧正月を約3週間後に控えた1月18日から3日間、トロントで開催される『The Chinese New Year Spectacular』(以下、『スペクタキュラー』)。西暦618年から907年まで続いた唐朝の栄華を、100名を超えるダンサーやミュージシャンで描くこのショーは、世界で最も大きな中国舞台劇として知られている。今回は、このショーの振り付けを担当するユン ユン・ツァイさんに見どころなどを伺った。

ツァイさんは、2004年から『スペクタキュラー』の振り付けを担当している。母国である中国で舞踊学校をトップの成績で卒業したツァイさんは、1970年に奨学金を受けて、アメリカに渡った。そして現在も、アメリカで中国舞踊の第一人者として活躍している。彼女は、数ある舞踊の中でも、中国舞踊は独特であると語る。
「中国のクラシック舞踊は、見た目の動きを学ぶだけでなく、”内に潜んだ意味“を学ぶことに重点が置かれます。つまり、長い歴史に支えられた騎士道、忠誠心、調和、そして神への信心に重きをおいているので、良いダンサーは、いつも自分をコントロールしていなければならないのです。中国舞踊において良いダンサーになるには、自分を常に戒めていなければならない。欲望や感情をそのままに表そうとするモダン・ダンスと、そこが大きく異なる点だと思います」
ショーでは、ダンサーは中国の伝説や実在したといわれる皇帝や将軍、そして、それらの勇士たちを彩った艶やかな女性たちを模して優雅な動きを見せる。
「このショーの見どころはダンスの振り付けよりも、衣装だったり、音楽やセットのデザインなのかもしれません(笑)。ショーで使用されるコスチュームは、ダンスの重要な要素。衣装担当は、それぞれの衣装が観客に正しい印象を与えるものであるよう、細心の注意を払って製作しています。コスチュームの製作はまず、そのダンサーが踊る、ダンスのコンセプトを理解することから始まります。
特定の王朝でのストーリーに使用される衣装は、デザイナーがその時代の絵画などを参考にコスチュームの原案を作ります。そして、髪型や帽子、靴などのアクセサリーを組み合わせ、ブループリント(デッサン)を作るのです。デザイナーはコスチュームが正しくその時代を反映していることにあわせて、動きやすいこと、そして、私たちが世界中で行う80以上ものショーで使用できるような耐久性も考慮に入れなければなりません。その後、デザイナーのスケッチは縫いの過程に回され、サンプル衣装が作られる。それに対してディレクターからのO
Kが出るとやっと、本衣装の製作に取り掛かります」
ショーで使用されるひとつのダンス(1話)で、100点以上もの衣装とアクセサリーが必要とされるという。コスチュームは中国の歴史上に存在したすべての王朝のものが参考にされているが、ツァイさんが一番、気に入っている衣装は、唐王朝のもの。
「唐王朝は、美術、経済、政治の面において、中国文化の絶頂だったと思います。この時代の中国はとても開かれていた。繁栄していたし平和だった。それにこの王朝は、インドや中東、ヨーロッパの影響を受けて発展していったんです。そのため国民の服装は豊かで自信に満ちている。女性はシースルー素材の1メートル近くもある大きな袖の洋服を着ることもあり、大きな花のブローチでウエストをマークしていました。洋服は、ただ体を覆うだけのものではありません。それにはその人の考えや文化、宗教的な価値観までをも示してます」
各王朝はそれぞれに特徴を持っており、それが服装に表れている。洋服から当時のモラルや価値観までもくみ取ることができるという。
また、『スペクタキュラー』の音楽に関して、ツァイさんはこう語る。
「ショーで使用される音楽は、天国の音を聞いているように響くと思いますよ。中国人は音楽は神からの贈り物だと信じていたんです。かつて中国では、音楽を作る時はペンタトニック・スケール(5音音階、日本でも雅楽でこの音階が使用されていた)を使っていました。これは、道教(老荘哲学)を起源に持っていて、全てのものは5つのエレメントに凝縮されるというその教えです。5つのエレメントとは、鉄、土、木、火、水で、これら5つのバランスを保とうとすることで、人間として『健康』でいるためのオーダーを学んでいきます。
ショーではその他に、古代に使用されていた7音音階も使用しています。これは、数年前に考古学者によって発見された中国の古代遺跡の壁に書かれていた楽譜と同じものです。それに加え、今年は初めて西洋クラシックのエッセンスも加えているので、今まで以上に楽しんでもらえると思いますよ」

過去の戦争や政変で中国の豊かな伝統文化は破壊されてしまった、その伝統文化に、再び魂を宿らせたいというツァイさん。
「人々は自分のルーツを失ってしまいました。だから、このパフォーマンスを見ることで、中国人は自分がどこから来ているのか、また、その他のエスニック・バックグラウンドを持っている人には、中国の文化とは、どういうものかを知ってもらいたいと思います。アートは魂の栄養分。平和や調和をもたらすようなアートを鑑賞したら、それを持ち帰って欲しい。それが大事なことだと思います。アートは美や人間のポジティブな面を映し出すことで、人の生活と人間関係に良い影響を与えることが出来るのです」。

〈インタビュー/西尾 裕美〉
ゆん ゆん・つぁい
ダンサー、振り付け師。アメリカ在住。1980年にユン ユン・ツァイ・ダンスカンパニーを設立し、精力的にダンサー、振り付け師として活躍する傍ら、マーサ・グラハム・コンテンポラリーダンス学校でダンスを教える。
The Chinese New Year Spectacular
日 時:1月18日(金)〜20日(日)
場 所:Sony Centre (1 Front St. E. 旧 Hummingbird Centre)
入場料:$38〜188
連絡先:647-288-4252、416-248-1168
サイト:www.bestchineseshows.com

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