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トロントの各界で活躍する著名人にインタビュー

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Satoshi Kamiya
神谷 哲史
折紙作家
神の手を持つ折紙師

電車の車窓から景色を眺めながら、暇にまかせてガムの包装紙で折り鶴を折ってみる、友人の病気回復や平和を願って千羽鶴をみんなで折るなど、日本人なら誰でもやったことがあるであろう『折紙』。現在、家庭や学校で使われている片面に色がつけられた色紙(いろがみ)はヨーロッパから伝えられたものであるというが、日本国内での折紙は、7世紀に紙の製法が中国より伝えられて以来、貴族らに愛され、また、紙が安価となってからは庶民文化の一端として楽しまれている。今回は、その御馴染みの折紙で驚くような作品の数々を作り出し、日本をはじめ、世界中の国々で高く評価されている折紙作家、神谷哲史さんにお話を伺った。

今年1月末、神谷さんはトロントを皮切りに、オタワ、ハリファックス、バンクーバーを巡回する折紙レクチャー・デモンストレーションを行った。そこで、トロントでのワークショップ会場となった国際交流基金トロント支部へ彼を訪ねた。会議室に案内されると、長テーブルの上に数多くの作品が並んでいる。もちろんすべてが紙で作られているとすぐに分るが、それでも、「本当に折紙ですか?」と確認したくなるものばかり。
「はい。1枚の紙で出来てますよ。今回のものはすべて1枚の紙から作っていて、(元になった折紙の形は)正方形です」
笑いながら答えてくれた神谷さんだが、どの作品も非常に緻密、リアルに仕上がっており、自分の目が信じられない。
「作品の固定のために貼り付けることはありますが、形を作るために切ったり、貼ったりすることはないですね。基本的には一枚の紙で、切らずに…ということですね」
神谷さんの作品は、その作風から『超複雑系』と呼ばれる。その文字が示す通り、彼の作品は手が込んでいる。
「折りやすい紙、折りにくい紙というのはあんまりないんですが、例えば、(日本の新聞に入ってくるような)広告紙だと弱いんですよね。折り紙用の紙でも何回も折っていると破れてきてしまうので、和紙を使います。やっぱり、和紙は(折り畳みに)強いですから」
神谷さんは人気テレビ番組『TVチャンピオン』で4回連続「折り紙王」に輝いている折紙の天才だ。
「現在所属している、”おりがみはうす(www.origamihouse.jp)“というところの代表者が折り紙王選手権への人材を紹介していて、『じゃあ、次は神谷くんどう?』という感じで話がきて、出演しました。当時17歳くらいだったでしょうか? その時、優勝いたしまして、それからは(折り紙王が企画されるごとに)出ています」
テレビ番組など、ブラウン管を通して見るとすいすいと作られていくように見えるが、実際の作品制作にはどのくらいの時間が掛かっているのだろう。
「そうですね。モノによるんですが、平均的には半日くらい。難しいものになると1日から2日。極端に難しいものになると…この龍神(表紙の作品)とかは、実際に掛かった時間はちょっと分らないですが、1か月くらいと一応、言っています。ウロコを5センチくらい折るのに、1時間とか2時間とか掛かるんですよ。(ウロコ)1枚に10分くらい掛かってますので…(笑)」
しかし、新作に取り掛かる時でも、あちら側へ折ったり、こちら側へ折ったりと試行錯誤することはあまりないというから、彼の天才ぶりが伺える。
「作品を作る時には、題材と技術的なものの2つの兼ね合いになりますね。題材というのは、面白い形のものがあって作ってみようということで、技術的な方は、例えば、こういう表現の仕方があるんだけど、このひだをウロコに使えるかな、とか、羽に使えるかな、ということで、実際にはその2つが同時に進行していて、この表現をこの題材に使ったらどうなるかなということを両方考えます。
新しい作品であれば、羽はこういう形で折ったらできるから…というのを考えて、次にそれをどうやって一枚の紙に収めようかと考えて、それからやっと折り始めるんです。
もちろん、それですべて完成するわけじゃなく、まあ、8割は失敗しますが…。そこ(完成)へ行くまでの材料というか、方法が固まっていれば固まっているほど、成功率は上がりますし、全く固まってないと、全く形にならなかったり…。
ただ、運がいいと想像していたものとは違うけれど、とてもいいものができることもあります」
折紙を始めたのは、物ごころつく前からだったという神谷さん。折紙を職業にするとは思っていなかったそうだが、一生続けていくのは間違いないと感じていたという。
「本当に好きでやってましたからね。今でも、基本的にはやりたくてやっているだけです(笑)。これからの目標は、そうですね…、もっと色んなものを作っていきたいと思っています。
今のところ、折紙で色んな形を作るところに一番、興味が向いていますので、もっと面白いものを作りたいですね。今回、カナダに来たことで、インスピレーションを受けることもあると思うんですよね」。

今回、「となかい」というカナダにもいる動物も作品中に見られる。作品に出来そうなカナダの動物がいるかと伺ったところ、「形あるものなら何でも出来ますよ」とのこと。神谷さんの作品集にビーバーなどカナダを代表する動物たちが登場することもあるのだろうか。私たちの想像をはるかに超える神谷さんの作品は、知っていると思っていた折紙の楽しさと、新たな可能性を教えてくれる

〈インタビュー/西尾 裕美〉
かみや さとし
1981年、名古屋市出身。日本を代表する折紙作家。99年、テレビ東京系列のバラエティ番組『TVチャンピオン』の「第3回折り紙王選手権」で優勝、以降04年に行われた第6回大会まで4連覇。www.folders.jp
神谷さんはフランス、スペイン、アメリカなどで開催される折紙愛好家のためのコンべンションなどにゲスト参加するほか、おりがみはうすから『神谷哲史作品集』など書籍も出版。また、フジテレビ系列のバラエティ番組『ザ・ベストハウス123』で、今回表紙に掲載の「龍神」がベスト1に輝く。

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