アリダさんが初めてイタリアを訪れたのは18歳の時、友人を訪ねる旅行だった。高校卒業後、大学で歴史を勉強しようと試みたが料理の道へ進むことを決意し退学。その後、トロントで料理を学んでいた彼女は、トスカーナに魅了されて単身渡伊。言葉も解らず、自分の腕だけを頼りに異文化圏で修行を積んだ彼女が、真のトスカーナ料理を紹介してくれる。
その日に仕込む、そのこだわり
ここ、トゥッティ・マッティでは、パスタやパンはもちろん、アイスやビスコッティなどのデザート類まで全てが一からの手作り。もちろん、使う食材にもこだわりがある。多くのイタリア人シェフがそうであるように、料理に使う野菜や果物が季節の物であることを大切なポイントとしている。『旬の物は旬に』という信念だ。
今回紹介する料理にも、旬の赤いトマトと、夏にしか採れない黄や緑のトマトがたっぷり使われていた。ガーリックとフレッシュ・バジルで香り付けされたシンプルなトマトソースの調味料は塩のみ。オイシイ旬の野菜にはあれこれと手を加えず、その素材の味を引き出すのがトスカーナ式なのだ。また、乾燥パスタとは異なった性質を持つフレッシュ・パスタをよく理解し、それに合ったソースだけを使うところも、さすがイタリア仕込み、こだわりが違う。
赤いトマトソースが絡んだ麺、バッファローのミルクから作られた真っ白なモッツァレラ・チーズ、ピリッと風味の効いた青々しいルッコラが目に鮮やかに映る。まずは目で、それから口で、その食材の魅力を解って欲しい、ということなのだろう。
目を閉じれば、そこはトスカーナ
熱いパスタに載せられた、とけかかったフレッシュ・モッツァレラを口へ運ぶ。期待を裏切らないその舌触りはチーズ好きには堪らない。腰のあるフレッシュ・パスタを食べれば、夏らしいバジルの香りが口いっぱいに広がる。新鮮なルッコラの独特な風味や、エクストラ・バージン・オリーブ・オイルの高貴な香り。目を閉じれば、そこはぶどう畑が広がり、のんびりと時間が流れるトスカーナの山間が浮かぶようだ。
また、トスカーナ料理を語るには、地元のオリーブ・オイルとワイン抜きでは始まらない。『土地の味』にこだわるイタリア人に習い、この店のオリーブ・オイルとワインは全てトスカーナ産。特に「その善し悪しで、料理が決まる」と言われるオリーブ・オイルに関しては、高品質な製品を生産する小さな工場と直に取引をしている程だ。ワイン担当は、イタリアで生まれ育ち、トスカーナのワイナリーで働いていたという彼女のパートナーだから、信頼度も高い。
今宵、トスカーナ産のワインを傍らに、収穫期真っ盛りの野菜を食しに行くのはいかが?
文/岸 黄葉 |
 |
 |
Antipasto della casa ($9.95)
アンティパストの盛り合わせには、イタリア食材の代表プロシュートをはじめ、ブラックトリュフをふんだんに使ったパテやイタリアチーズ各種が盛り込まれている。中央のパンをスプーン代わりに使って食べよう。ワイン片手にのんびり前菜を楽しみながら、メインディッシュを決めるのも悪くない |
 |
| |
 |
| Tutti Mattiはイタリア語で、Everybody Crazy。彼女が出会った同業者が、皆クレイジー!だったから、とか |
|