古代から中世にかけてローマ帝国の一部であったルーマニアは、中央ヨーロッパで唯一、ラテンの血を受け継いでいる民族。それ故、ルーマニア語はイタリア語にとても近い。更に、中央ヨーロッパでは珍しく、明るく朗らかでオープンな考えを持つ人が多く、困っている人を見るとつい手助けしたくなる性格の人が多いのだそうだ。そんな背景を持つオーナ夫妻の話を聞きながら、彼らの心のこもった料理とその料理に対する姿勢に納得した。
「素朴な外見」と「繊細な味」
ルーマニア風手作りソーセージは腸詰にはされておらず、ハンバーグを小さな俵型にしただけの素朴なもの。カナダのホットドック屋台のように、ルーマニアではあちらこちらで売られているほど人気の食べ物なのだそうだ。ひき肉を小型ソーセージ風に成形してただ焼いただけに見えるが、焼き加減から舌触りまで、実は結構奥が深かった。
この店のソーセージは牛肉のミンチのみを使っており、焼き上がったソーセージから漂う香りがなんとも食欲をそそる。香ばしいガーリックに始まり、数種類のハーブがうまくブレンドされているような香りだ。ご主人に訊ねてみると、広辞苑ほどもある『レストラン経営・虎の巻』(なる本がルーマニアにはあるのだ)の中から一枚の小さな紙切れを取り出して、惜しみなく材料を教えてくれた。(でも誌面では秘密)
ハーブ各種と塩がよく効いたこのソーセージには、何と言ってもビールがよく合う! 塩がきついかな?と思ったら添えてあるマッシュポテトと(ポテトをソーセージに少しのせて)食べてみるといい。まろやかなマッシュポテトがうまく塩味を包んでくれるはずだ。
味の決め手は、焼き加減にあり
家族で経営するこのお店では、殆どの料理をお母さんのマリアさんが作るのだが、ソーセージとグリルはお父さんのジョージさんの担当。彼は「グリルは男の仕事」という意気で、ソーセージ焼きについても語ってくれた。普通のソーセージは腸詰にされているため、火を入れても肉汁が外側に出てくる心配はあまりない。しかし、皮を使わないこのソーセージは火加減を調整し肉汁を外に出さないようにするため、経験と集中力を要するのだそうだ。
この様に大変な作業を含む料理はジョージさんが、他の細かい料理はマリアさんが、そして接客は娘さんが担当し、家族全員でサービスしてくれるこの店にいると、なんだか彼らの家でもてなされているような錯覚に陥ってしまう。ルーマニアでの逸話を談笑してくれた、明るく大らかな彼らの料理で、ぜひ心も身体も温まって欲しい。
文/岸 黄葉 |
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Minced meat balls soup $4.95
時間を掛けて作られた自家製ビーフコンソメをベースとしたスープ。一匙口に含むと、濃厚でまろやかな味とハーブの香りが口いっぱいに広がる。ライス入りビーフボールに加え、野菜やハーブが色鮮やかにスープを飾り、味覚はもちろんのこと、視覚でも料理を楽しませてくれる |
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| Platou romanesc $8.50 |
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| ご主人が設計し、内装からカウンター設置まで全てを手掛けた店内。落ち着いたアットホームな雰囲気 |
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