| 母さんの味に包まれて育ったオーナーのモニカさんが30代で心機一転し、モダンな韓国料理店をトロントに出そうと決意したのが6年前。レストランビジネスの経験は皆無だった彼女が、現在この道で成功を遂げているのは「心と身体を温め、人々を和ませる『韓国料理の随』を多くの人に知ってもらいたい」という信念があったからこそだ。マネージメントから料理に至るまで、毎日が勉強という勤勉なモニカさんがトロントの冬にぴったりなアツアツ料理を紹介してくれた。
母さんの経験ならでは
モニカさんのオススメは、日本人を始め多くの外国人に人気の石焼ビビンバ。石鍋に盛られてやってくるビビンバ(混ぜご飯)は韓国語ではドルソッ(石)ビビン(混ぜ)バ(米)と言うのだそうだ。
さて、このレストランのキッチンで『母さんの味』を展開するのは韓国料理の道で経験豊かなリンダ・キムさん。ぶ厚い石鍋にご飯を盛り、その上に人参、ズッキーニ、もやし、ほうれん草など色とりどりの野菜、更に牛肉と目玉焼きをのせる。それを器のままコンロにかけて、底のご飯がパリパリになるまで調理する。簡単に聞こえるが、ご飯はパリパリであっても決して焦げてはいないところはやはりプロの仕事。火加減やコンロから降ろすタイミングなどは経験なしではできないからだ。 そして、ジュージューと音をたててテーブルへ運ばれて来た石焼ビビンバ。熱いうちに好みの量のコチュジャン(韓国甘辛みそ)を加えてスプーンで混ぜ混ぜするのが韓国式だ。ご飯が器にくっついてしまうなんて事にはこだわらず、勢いよく混ぜることも忘れずに! でも、熱々に焼けた器を直接手で支えたりしないように注意!
子供を思う母の料理
実は、モニカさんとリンダさんの作る料理には秘密が隠されている。まずはご飯。石焼ビビンバには白米を使
のが主流だが、ここ『サン』のご飯はムラサキ米や豆など、何種類もの穀物が白米と一緒に炊かれている。身体に良い穀物を摂取できるので健康的なのはもちろん、優しいスミレ色に染まったご飯は心を和ませてくれるのだ。そして、健康に人一倍気を使っているという彼らの料理には、MSG(グルタミン酸ナトリウム)などの化学調味料は一切使用されていない。また、旬の野菜は栄養価が高いという理由から、それらを出来るだけ使うようにしているとのこと。そのため、各種料理で使う野菜や、サービスで出すパンチャン(韓国小皿料理)の数々も季節によって種類が変わる。こういった小さな気遣いがまさに『オモニ』的だ。
韓国料理の随を知った『オモニ』達の心が見え隠れする料理の数々。心も身体も温まる韓国母の料理は、カナダの寒い冬にピッタリだと思いませんか?
〈文・写真/岸 黄葉〉
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