アメリカ南部といえば、バーベキュー(BBQ)。祭りなどのイベントに欠かせないBBQは、南部の魂と言っても過言ではないほどその土地の人々の心に染み込んでいる料理だろう。実はトロントにもその魂に魅了されている男がいる。本場のBBQの味を探るべくその本拠地を単身で放浪し、その見聞経験から得たものをトロントニアンに紹介している男、それがこの店のオーナー、フィルさんだ。
アレンジが旨い!
それでは…と、両方とも注文。お勧めを教えてくれたオーナーの彼女はペルー生まれの日系人。「両祖父母ともに日系人だから日本語もちょっとできるのよ」と言いながら自分の名前を上手に紙に書いてくれた。そんな彼女のユニークなバックグラウンドがモカ・モカのメニューにも反影されている。生まれ育った南米ペルーの味がそのベースとなっているようだが、その中にも彼女の『家の味』であるアジアの味を引き出すような調味料を巧みに使用しているのが分かる。そのチラリと見えるインターナショナルぶりが実に新鮮。そこに料理学校時代に学んだテクニックなどを上手くブレンドし、国際色豊かなトロント市民に国際食の数々を紹介しているという訳だ。
例えば『ハム、チーズ…クレープ』は、フランス生まれのクレープに南米では食卓の友と称しても過言ではないサルサを添え、仕上げにペルーでよく使用されている香菜やアボカド、トマトをタップリあしらって南米らしい色彩に作り上げている。そんな風に、思い掛けない料理がここにはあるのだ。
素手でガブッ、ビールをゴクッ
さて本題のBBQだが、南部のそれは焼くというより薫製(スモーク)に近い。短いもので4時間、100℃に満たない低温で調理する場合は16時間も要するのだとか。また、使用するのは薪オーブンのみ。薪の種類にもこだわりがあり、普段はリンゴの木を、それがなければ他の果物やナッツの木しか使わない。というのも、出来上がった肉の薫りがフルーツのように甘く、そしてナッツのように香ばしくなるから。他の木ではそうはいかないのだ。仕上げ用のオリジナルソースと下味用のハーブやスパイスも出来上がりの薫りを損なわず、むしろ高めるように計算されている。その絶妙にブレンドされた薫りを前に、そそられない訳がない。ここは素手でガブリといくのが南部式。口のまわりと両手がベトベトになろうがなりふり構わず次のリブ、また次のリブ…と食べ進んでいく理由は言うまでもない。
そして、この濃厚な味と薫りにピッタリ合うのはやっぱりビールさ、とエキスパートに言われたら試さない訳にいかない。「ングッ、ングッ、プッハ〜!全くごもっとも」と、おおらかに笑い合う。暖かい春の日差しの中に陽気な南部の景色が見える、そんな料理を楽しんでほしい。
〈文・写真/岸 黄葉〉
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Pulled Pork Sandwich($6.95)▲
低温で長時間BBQするプルドポークはジューシーで柔らかい仕上がり。カイザーパンに挟んだだけのシンプルなサンドはオリジナルソースをたっぷり掛けて食べるのが二重丸! |
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Phil's ORIGINAL BBQ Sauce
(Hot/Mild、各$5.00)▲
フィルズ特製のソースを使って自宅でのBBQをスパイスアップしたい人に吉報。ペッパーの甘い香りと辛味の効いたHOT(スパイシー)とハーブの香りがギッシリ詰まった甘めのMILD。 |
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| ▲仄かにスモークの薫りが漂う店内。内装にはシンプルな米南部風で、壁にはジャズのポスターが並ぶ。 |
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