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美味しい料理を、色々試せるのがコース料理のいいところ。でも北米のレストランは平均的に一皿の量が多いから、メインにたどり着く前にお腹が一杯!なんて事態も起きてしまう。そこでお勧めしたいのが、トロントでもポピュラーになってきた「テイスティングメニュー」。その名の通り一つひとつが小さめのお試しサイズなので何種類もの料理が楽しめ、日本の会席料理のスタイルを彷佛とさせる。今回は、トロントで一番という呼び声の高い本格フレンチレストラン「Auberge
du Pommier」の春のテイスティングメニュー(全7品)から、3つのディッシュを紹介したい。
「芸術」と呼ぶにふさわしい完成度の高い料理たち
一品目は「Fruits de Mer」と名付けられた3種類のアペタイザー盛り。自家製スモークサーモンに包まれているのはホタテのムース。調理直前まで生きていたという新鮮な蟹のサラダはシソ、バジル、コリアンダーなどハーブの香りがとてもフレッシュ。そして真ん中で存在感を示すのはオーガニックの白カブ。その間には細かく刻んだリンゴと赤カブが挟まれている。サッパリしたカブは他の2つのアペタイザーの間にいただくことで、味覚をリフレッシュさせる意味も込められている。どれもふた口サイズの小さな料理だが、シーフードの香り、果物の甘み、野菜の食感と、それぞれが全く違った美味しさと驚きを与えてくれる。
もう一つ特筆したいディッシュは3品目の「Caille Fume」、仏語でウズラの薫製の意だ。ウズラというとあの小さな卵が思い浮かぶが、野鳥料理が盛んなフランスではウズラの肉もよく使われる。この薫製、フラワーティー用の花や甘草(甘味剤や漢方薬にも使われる植物を乾燥させたもの)を使用しており、花畑にいるような優しくて甘い香りがする。地元の食用花をふんだんに使った自然味あふれる盛りつけがとても美しい一品だ。
メインコースとして4番目に出てくるのが「Porcelet Naturel」。こちらは子豚料理。ローストされた肉はとても柔らかい。春を感じさせるトップの鮮やかなグリーンは何とグリーンアップルの色。パン粉と一緒に細かく砕かれたリンゴは、ポークにクランチーな食感と爽やかな味わいを加える。同じくグリーンのソースはクレソンと甘みのあるガラという品種のリンゴのピューレで、リンゴから作ったブランデー、カルバドスも使われている。どうしてこんなにリンゴを多用しているのか?実は店名にもある「Pommier」とは仏語でリンゴの意味。ここでは色んな種類のリンゴを色々な調理方法で料理の隠し味として使っているのだ。
最高のディナーを約束するトップシェフの技とこだわり
どのディッシュにも、書ききれないほど多くのテクニックとこだわりが詰まっている。シェフのジェイソンは、カナダ代表チームの一員として数々の世界的な料理コンペティションで優勝し、イギリス皇室の料理を作った経験も持つ、料理に対して誰よりも真剣で情熱的なシェフだ。トップシェフの限りなく自由な発想と技が存分に楽しめるテイスティングメニュー、是非一度、味わって欲しい。
〈文・写真/大村 絵理〉
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