仕事で世界中を飛び回っているアメリカ人がある日、私に言った。「君ぃ、トロントに住んでいるならグリークタウンに通わなきゃ。あそこのレベルは北米一だよ!」と。そうか、そんなグルメな街だったのね? と、単純な私は当時、グリークタウン近くに引っ越して様々なレストランへ通ったものだ。今回はその中でもお勧めの老舗レストラン「AVLI」を紹介したい。
レシピの起源は1600年以上前!?
肉の串焼き「スブラキ」、削ぎ落とした肉をピタパンに挟んだ「ギロピタ」、ひよこマメを潰したディップ「フムス」など定番ギリシャ料理もいいが、何か新しいものにチャレンジしたいという私に、オーナーシェフのランブロスが勧めてくれたのは「ポークテンダーロインのヨーグルトトマトソース」。レシピの歴史は何とビザンティン帝国(!)時代に遡るのだという。ギリシャの歴史講釈を始めた彼を何とか料理の話に戻しつつ、最もこだわっているポイントを聞いてみた。「まずは上質ポーク。これだけ柔らかいポークはトロントでベストクオリティ。あとはブレンドライスも自慢」とのこと。さて、古代ギリシャから伝わる一品は一体、どんなものだろう?
運ばれてきたのは、色とりどりで華やかな一皿。ユニークな棒状にカットされたポークは、細かいパン粉が付いて、ほんのりきつね色。ギリシャ版のトンカツのようなものだろうか?ナイフをいれると、サクッと音がする。豪快にアツアツを口に運ぶ。肉はとても柔らかく、噛んでいるうちにとろける様に消えてしまった。パン粉の中には、薬草として5000年もの歴史を持つディル(香辛料)、コリアンダー、クミンなどが入っていて、独特の風味がある。そして、サクサクした衣には油っぽさが全くないことに気づく。ポークを卵黄につけてパン粉の中へ。余分な衣を落とし、少量のオリーブオイルを敷いたフライパンで軽く火を通してからオーブンで焼いているのだ。ヨーグルトとフレッシュトマトをたっぷり使ったソースでアッサリいただくと、オイリーという地中海料理の印象が一転する。
甘み、バリエーション…味わい深い脇役たち
そしてランブロスのもう一つの自信作、ブレンドライスへとフォークをすすめる。ボリュームがある北米のレストランでは残してしまいがちなライスだが、自信作というだけあってお世辞抜きで美味! 最後の一粒まで完食した。ライスにレーズンと胡桃を混ぜるのは、古代から伝わるレシピ。ホワイトライス、香りのあるインド産バスティマライス、ビタミンや食物繊維が一杯の黒くて細長いワイルドライスの3種類を使用するのは彼のオリジナルだ。また、ここでは7種のホームメイド・ディップが楽しめる。チーズや野菜をたくさん使った個性的なディップをお好みで注文して、料理やパン、ピタなどと一緒に楽しみたい。
8月にこのエリアで行われる、毎年恒例となった食の祭り「Taste of Danforth」では80軒以上のレストランが屋台を出す。それまでにお気に入りの一軒をみつけて、夏のグリークタウンを満喫しよう。
〈文・写真/大村 絵理〉
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▲Avli's World Famous Dips
($6.50 each、$16.25 any three)
7種のホームメイドティップはどれもフレッシュで味わい深い。色々試してお気に入りを見つけよう! |
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▲Seafood Feta Tomato Pie
($18.95)
パイをサクサクっと破るとトマトとフェタチーズのソースの中にエビ、ホタテ、ムール貝、サーモンが入った豪華スープパイ。 |
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| ▲真っ白い壁の店内は地中海の海辺のレストランを連想させる。パティオも人気。 |
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