移民の街であるトロントでは、あらゆる地域の料理が楽しめる。その一つ、Shawarma(シャワルマ)は、日本では馴染みが薄いが、ここトロントではかなりポピュラー。シャワルマとは、ファストフード感覚で気軽に食べられる中東のサンドウィッチで、カナダでの人気は高く、そのため競争も激しい。トロント市内にもシャワルマを提供する店は多くあるが、中でも一番との呼び声が高いのがダウンタウンに4店舗構える『Ali
Baba's Restaurant』。今回はその人気の秘密を探るべく、ダンダス・ウエスト店へ向かった。
ラップならではの、味の凝縮
ヨルダン出身という店長のアフミッドさん。自国でもレストランを経営していたが、移住後、トロントでも店を開き、現在ダウンタウンにあるすべての『Ali
Baba's Restaurant』は、アフミッドさんと彼の兄弟による経営だとか。まずは、手際よくチキン・シャワルマを作ってくれた。ピタの上にガーリックソースを塗り、鮮やかなピンクのターニップ・ピクルス、レタス、トマト、玉葱をのせ、パセリをふりかける。そして後ろの方で、くるくると回る巨大なチキンの串刺し(シャワルマ)を薄くそぎ落とし、野菜の上に据えたら、ゴマ、ミント、ガーリックなどで作った特製のタヒーニドレッシングをかける。それをきゅきゅっと巻き、鉄板に乗せて少しこげ色を付けると、アリババのチキン・シャワルマが完成する。外はパリっと香ばしく、中は柔らかくしっとりとしたチキン、シャキシャキの野菜、ターニップのピクルスが絡み合い、口の中で一つになる。さわやかな酸味と濃厚なタヒーニドレッシング、そして塩気の効いたチキンが何とも絶妙なコンビネーションだ。
アリババの秘密
秘密などないと言い張るアフミッドさんだが、よく聞けば、タヒーニドレッシングを作るためだけに、わざわざ3段階のスピード調整機能がついたミキサーをイギリスから取り寄せたという。ニンニク、ブラウンビネガー、ミントなどを、全てフレッシュな状態から速度を調節しながら丹念に混ぜ合わせるという。トロントでは、自分以外にこれほど手をかけてドレッシングを作る店はないと自信たっぷりに語る。更に材料にこだわり、良いものを新鮮なうちに下ごしらえしている。肉もその一つで、仕入れた肉をベジタブルオイル、ビネガーや塩で味付けし、丁寧に重ね合わせて巨大な串刺し状態を作り上げる。すべて既製品は使わず、生の食材にこだわっている。
ひっきりなしに来店する客の殆どが常連で、「元気か?」「子どもはどうだ?」と笑顔で話しかけるアフミッドさん。この日、居合わせたサミァさんはわざわざミシサガから来たという。アリババの秘密は? と聞くと「私の家族はシリア出身で、トロントにある中東料理レストランは殆ど試したわ。でもここが一番よ。理由はバランスがいいことかな。香辛料や具の量や、そのすべてのバランスが完璧なの。家庭料理そのままの味よ」と教えてくれた。
手軽で美味しい中東のラップ、シャワルマ。初挑戦の方も、シャワルマファンも、ぜひ一度、アフミッドさんの愛情こもったシャワルマサンドを試してみてほしい。
〈文/中島 智子〉 |
 |
 |
▲Veal Shawarma Plate (Beef)
($6.25)
レンズマメのご飯と、ビネガーや塩でしっかり味がつけられたビーフシャワルマは相性よし。 |
 |
▲Falafel
(各$0.35)
すりつぶしたヒヨコマメに、ハラペーニョ、コリアンダー、ニンニク、パセリなどを混ぜて揚げたコロッケのようなもの。ピタに挟んだファラフェル・サンドも美味しい。 |
 |
| ▲テイクアウトのお客さんが多いが、中でゆっくり食べることも可能。 |
|
|
|