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トロント大学のダウンタウンキャンパス内にとてもユニークなレストランがあるいう情報を得て、早速出かけてみた。レストラン「Gallery Grill」があるハートハウスは20世紀に活躍したカナダ人のゴシック建築家によってデザインされた、大学構内でも最も美しいと言われる建物の一つ。高い天井、ステンドグラスの窓、まるで中世の教会か美術館にいるような雰囲気がとてもいい感じだ。
手間ひまかけてじっくり煮込む冬料理
「Gallery Grill」のメニューは、品質の良い食材を選んで作られており、毎日更新。ファーストコース、メインコース、デザートが各5〜6種類ずつ、お勧めのワインのペアリングもあってどれも魅力的な内容となっている。
その中から選んだ「Cocoa-Braised Beef Cheek」は、地元の牛を使い、一頭からほんの少ししか取れないという貴重なほほ肉を使用した煮込み料理だ。赤ワイン、玉葱、人参、セロリ、ガーリック、そしてオリジナルのココア・スパイスミックスにほほ肉を漬け込むこと一晩。スパイスミックスには、日本では八角と呼ばれるスターアニスやコリアンダーシード、フェンネルシード、そしてパウダー状のベルギーチョコレートなどが入っている。翌日、漬け込んだほほ肉を取り出し、下味を付けた後、外側を軽くフライパンで焼く。その後、暖めた漬け込みタレを入れた鍋でゆっくりと5〜6時間煮込んでいる。鍋の表面にたまにポコッと泡が出るくらいの低温で煮込むのがポイントとのこと。この一連の調理方法は「ブレイズ」といい、素材の旨味を閉じ込めた煮込み料理として冬の食卓にピッタリだ。
ナイフ要らずの柔らかさ
セロリとフリーゼ、そしてブルーチーズのサラダの上に煮込んだほほ肉を盛りつける。フリーゼは、とても細かく繊細なフランスの葉野菜で、わずかな苦みとシャキシャキとした味わいが特徴で肉料理との相性も良い。
また、ほほ肉の漬け込みタレに更に赤ワインと甘みとコクのあるポートワインを加えて、低温でじっくりと煮詰めておき、最後にこのソースをサッとほほ肉の上に掛けて完成となる。
じっくり煮込まれたほほ肉は、赤ワインとチョコレートの程よい甘みとコクがあり、柔らかく口の中でとろける味わいが絶品。他の素材の食感や味のバランスもとても良く考えられており、肉料理ではあるけどサラダと一緒にライトな感じでいただけるのも嬉しい。
実はこのレストラン、通常のレストランとは少し異なり、平日と日曜日のランチだけの営業だ。そのため、エグゼクティブ・シェフのスザンナが最も気をつけているのは、肉や魚を使ったメニューでありながらランチにふさわしいライトさ、爽やかさを演出すること。量はもちろんのこと、調理方法、味付け、そして盛り付けからも彼女のバランス感覚の良さや繊細さが伝わって来る。
ビジネスミーティングを兼ねてのランチ、友人とゆっくり語らうランチ、そして、日本から来たゲストを案内するのにも是非知っていて欲しいお勧めのレストランだ。
〈文・写真/大村 絵理〉
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