今年で24年目を迎える『モントリオール・インターナショナル・ジャズフェスティバル』。世界指折りの規模を誇るこのジャズ祭は、今年も6月26日から11日間に渡って、モントリオールの夏の青空を揺らし、夕焼けを情熱的に染め、そして、観客を夏の夜長に何時終わるとも知れない音の旅へ誘う。
例年にも増す盛り上がりが期待される今年は、500以上のコンサートがラインナップされており、その内の約350が無料で楽しめるようになっている。参加アーティストも、ノラ・ジョーンズ、レイ・チャールズ、ベン・ハーパー、セザリア・エヴォラ、ロイ・ハーグローヴなど、ビックネームがズラリと名を連ねる。そして、この大物アーティスト達だけを見ても分かるように、そのジャンルは、ジャズの王道を行くものから、ブルース、ソウル、R&B等と幅広く、まさに誰もが楽しめる音楽イベントとなっているのである。
このフェスティバルでは開催委員会が選ぶ、その年に最も活躍したミュージシャンに送られる3つの賞が設けられており、毎年フェスティバルが始まる前に受賞者が発表される。それぞれの賞には、ジャズ界の巨匠達の名が付けられている。それは紆余曲折に富んだ音楽人生を送った、3人のジャズミュージシャンに対して敬意を払うものであり、ジャズ界でも数有数の名誉ある賞としてフェスティバルを盛り上げる。
■マイルス・デイヴィス賞
『ジャズの帝王』と讃えられたトランペット奏者、マイルス・デイヴィスの死から3年後の1994年に設けられたこの賞は、ジャズの世界に新しい息吹を与えた功績者に与えられる。
■エラ・フィッツジェラルド賞
2001年に設けられたこの賞は、聴く者全てを魅了した上品な歌声でジャズ史にその名を残す、エラ・フィッツジェラルドを讃えるもので、即興性の中にもオリジナリティーと高い質を持ち合わせたジャズシンガーに与えられる。
■オスカー・ピーターソン賞
1989年にフェスティバル10周年を記念して設けられたこの賞は、カナダのジャズシーンにおいて、最も貢献度の高かったカナディアン・ミュージシャンに贈られる。オスカー・ピーターソンはモントリオール出身のジャズ界の巨匠で、今なお活躍中の現役ジャズメンである。
このフェスティバルに設けられた3つの賞とその流れを見ても、この祭典がいかに成長してきたかがわかる。まずはカナディアンを対象としたオスカー賞が設立され、その後、世界中のミュージシャンから選ばれるマイルス賞が作られている。これはカナダから世界にその規模が広がった事を意味する。そして、数年前に設けられたシンガーを対象としたエラ賞が、フェスティバルのエンターテインメント性の向上を如実に表している。モントリオール・インターナショナル・ジャズフェスティバルは、まさに即興をモットーとするジャズを舞台化したような、止まるところを知らない高い目標に向かって走り続けているのである。
今年も熱くクールな演奏が真夏の下で繰り広げられる。青空の下で、夕暮れ時に、そして夜に。様々な楽しみ方のあるこのジャズフェスティバルは、今年も観客の耳と目と、そして心を刺激してやまないだろう。
資料提供
Festival International de Jazz de Montreal, Toronto Downtown Jazz |