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自分が京都出身であるから余計にそうなのかも知れないが、現在地がKINGからQUEENに変わっただけでも充分ランクダウンしている感を味わえてしまう状態で、DUNDASという全く意味の分からない通りに出て来たとき、カナダの道の在り方が普通に理解出来なかった。
京都の場合、「碁盤の目」と云われるように殊の外分かり易く道が延びており、東西に走る道が途中で切れてしまっているものもあるが、一応、一条・二条・三条と最終十条通りまでを基盤に、間に幾つか道を挟んだりしながら、北から南に順番に並んでいる。京都で一番の繁華街とされる四条通り周辺で地下鉄を降り、烏丸通りという南北に抜ける道を三条通りまで北へ歩くと多少賑わいの終焉を感じざるを得なくなるが、尚、北へ向かい二条通りに差し掛かかったとき、余程の目的意識のある人間でも不安に陥ってしまう程、ここは本来旅行者が足を踏み入れるべき所では無いという雰囲気に満ち溢れているどころか、実際二条通り自体を見付けるのが困難だったりする。同じようなことが南に行って出会う五条通り以降にも言えなくは無いが、一応七条と八条の間に京都の玄関口と云われ、新幹線も止まる京都駅が構える。然し事実四条通りを中心に南北に遠ざかる程都会度が減少していき確実に寂れていっている。
トロントも一応「碁盤の目」スタイルであり、京都タワーと同じで街の南側且つ東西の中心にCNタワーがシンボルとしてそびえる。これを知ったとき自分とトロントの相性は意外に良いのではないかと思ったが、闇のような状態のKING通りから遠くに見えた繁華街特有の、乾いた目に沁みるような眩い光を目指して歩き、やっとの思いで辿り着いた光の源である場所が幾つかのオーロラビジョンとハードロックカフェの看板によって如何にも街の中心地に見えるだけで、何のことは無いただの広場だったとき、箱だけ大層に大きく期待感破裂する程膨らむプレゼントを喜び勇んで開けると、中から3歳児の握り拳ぐらいの大きさのショッボイ手作りの土笛が出て来たのに似た、”キ“を通り越して”ク“になる程、『ガッカリ』でなく心拍数がゼロになるような『ガックリ』であった。
自分が次なる目的地を完全に失い、臨終に近い状態で呆然と味気無い広場を前に立ち尽くしていると、ふとした疑問が頭をよぎり、それが連続的な自問自答を生み出した。「日付変更線を越えて異国へ来た私に時計が日付が変わるのを教えようとしている深夜前、自分は何故行き場を失っているのだ? 初めての国だからか? いや違う。降りた駅がハズレだったからか? いやそれも違う。宛も無く都会の光を目指してこんな所まで歩いて来たからか? いやそれも違ッ…ん? 宛も無く?」と自問に対しての自答が滞った時、ハッとした。初めて来る国で深夜前にも関わらず、宿を決めていなかったのである。
それから数時間、私は北の国からの田中邦衛が久し振りに出た都会で迷子になった自分の娘を探すように、ある言葉を延々と呟きながら、尚、街を彷徨い歩いた。
「ホテルは何処だぇ? おいらのホタル…」
nob morley
吉本新喜劇で活躍中のお笑い芸人。今年2回目の舞台は東京にて。新年早々、物の見事に滑ってしまい、意気消沈しているらしい。
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