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6年程前、その当時付き合っていた彼女との2泊3日の旅行から帰って来た時のことである。部屋に荷物を置き、唯一のペットである亀に餌をあげようと水槽の蓋を開けると、『カメ太』(雄か雌かも分からず彼女が命名)の姿が見当たらない。旅行中にデカく成り過ぎて水槽から飛び出したのか? それともお腹が減り過ぎて自分自身を完食してしまったのか?どちらにせよ、カメ太は、彼女と付き合って程無くして一緒に行った夏祭りで、『カメ掬い』なる動物愛護の精神に見事に反する金魚掬い以上に残虐な気分のする遊びによって、幸か不幸か救われたのか掬われたのか分からぬまま飼われることになったのだが、彼女の家が狭いという理由で、私が自宅で代理乳母的存在として育てることになり、元来責任感の強い人間と自負する私はカメ太の気配が無い水槽を見て愕然とした。彼女から預かった大事なペットが居なくなったとなれば、これは2人の関係に響く。様々な悲観的未来予想が交錯し焦燥に駆られるも、全く得策浮かばず、取り敢えず汚れた水槽の掃除でもしようと大きな空洞の空いた石を取り出すと、その中には魂が一切宿っていないことが一目で分かる変わり果てたカメ太が…。愛亀の死を伝えると彼女は、怒る感情を抑え私の家に急いで駆け付けた。そして、2人で近くの川に行き、彼女に申し訳無い気持ち満開ですっかりあっちの世界に旅立って行ったカメ太を見せると、彼女は怒るどころか、暫く見ない間に想像以上に大きく成長したカメ太の姿に驚き、施設に預けた子を想う親の気持ちが今なら100%分かります的な、
”ここまで育ててくれて有難う“という笑顔を悲しく私に向け、カメ太の亡骸をガンジス川気分で「ごめんな。カメ太…」と放流した。すると、ついこの間まで元気良く水槽を泳ぎ回っていたカメ太が、川の流れに一切抗うことなく、心無い人間が捨てた空ペットボトルのように実に素直に下流へと流されて行く。その姿を見て2人は涙ながらに「ありがとう…」と呟いた。
暫く会っていなかった友人がゲイであると知ったことは正にこれに匹敵する程のショックで、久し振りに会った姪っ子に意気揚々と「暫く見ない間にすっかり大きくなって!」と言うかの如く『暫く見ない間にすっかりゲイになって!』とは言えず、会っていない期間にカレが違う世界に転向したのか、それとも私が知らなかっただけで以前からそっちの世界で有意義に過ごしていたのか、どちらにせよ、私の知るカレは死んだような気がした。然し、よくよく考えれば、単にテーブルの下で男同士手を繋いでいたのを見付けただけでカレがゲイであると決め付けてはならないのではないか? もしかすれば難解な英語で「此間見たカップルなんて不細工な癖してこんな風に手を繋いでたんだぜ!」という会話の延長かも知れない。トイレで用を足しながら、実に色々なことを考え、先程自分が見た光景や全ての憶測と疑問をトイレに流し、新たな気持ちでカレに接してみようとトイレから出ると、遠くに見えるカレが疑惑の男友達と口付けを交わしていた。
その2人の姿を見て私は涙ながらに「俺はどないしたらええねん!」となゲイた。
nob morley
吉本新喜劇で活躍中のお笑い芸人。『カナダドルえらい高なってますやん!』と驚くノブモーリー。じゃあ、ギャラ上げなくてもいいよね〜(by 編集部)
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