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日常、私が初対面の人に自分の職業を明かした時に大抵投げ掛けられるのが「コンビなんですか?」という質問である。和の入れ墨が綺麗に入ったイカつい人に「ヤクザなんですか?」と訊く人なんて先ず居ないのに、こういう面倒臭い質問を受けなくてはならないのは、売れていないからこそなのだと思えば当然のことなのだが、正直のところかなり辛い。
医者と聞けば殆どの人が「お金持ちなんですねぇ〜!」という目で見るように”医者=金持ち“のような職業に対する固定観念はある程度仕方無いとは思う。
然し、ヤクザと聞けば「目を合わすな」と、なるべくその人を避けようとする”ヤクザ=恐い“という日本古来の実に伝統的な固定観念は未だ通用しているのに、芸人と聞けば、テレビで見たことあるかないかで先ず計り、『ない』となれば”芸人=コンビ“という固定観念をかざし上げ、コンビであればそのコンビ名を聞いたことがあるかないかで最後の天秤に掛け『ない』となれば”無名芸人=銭無し、テク無し、プライド無し“と、一切の気を遣うことなく不躾な言葉を投げつけて来るようになる。私の場合、ピンであるが故、かなり早い段階で遠慮無い言葉が飛んでくる。
人それぞれ言われて嫌なひと言というのはある。例えば、自分の体型を気にしてダイエットを始めたのに誰ぞに「前より肥えたんちゃう?」なんぞ言われようものなら、食事節制をしているのに肥えていくという己の身体の吸収力の高さに
嫌悪感極まり、逆に開き直ったかのように暴飲暴食に走ってしまいそうになるであろう。私の場合、身体的な部分に関して誰ぞに馬鹿にされようとも、確かに全く傷付かない訳では無いが、『コンプレックスは最大の武器である』という気持ちが身体の芯にある以上、胃袋に軋みを感じる程のことはない。それでも一つだけ、これを言われると、急に全身が硝子張りになり、そこを大きめのハンマーで殴られ、粉々に砕き割られたような感覚に陥るひと言がある。それは「2人、コンビ組んだらええねや!」である。
確かに今の日本の芸能界で売れている芸人を探ればコンビ経験がある、若しくは現在もコンビで活動しているという人間が圧倒的に多い。この状況から”売れたければコンビを組め!“という極論に至る気持ちは分からなくも無いが、コンビ結成というのは、2人でこれからの将来を約束する『結婚』に近しく重きものになり得ることを知っておいて欲しい。付き合っていなくとも仲良さ気な男女を見て「2人付き合ったらええねや!」と軽く云ってみることあれど「結婚したらええねや!」とまではあまり云うことないだろう。それは、結婚というものが人生に於いて重きものと考えられているからである。となれば余計に、「コンビ組んだらええねや」とは軽く言って欲しくないし、言われたくない。結婚相手は自分で見付けたいし、周りにとやかく言われて結婚するなんて、それこそまさに”結婚は人生の墓場“まっしぐらである。コンビの相方とはある種人生の伴侶である。そんな重き存在の人に別れを告げられ、漫才コンビを2回も解散(離婚)している私はもぅ『独身』(ピン)のまま売れるしかない!
nob morley
吉本新喜劇で活躍中のお笑い芸人。あけましておめでとうございます。よく考えたらこのコラムを書き出してもう4回目の正月です。
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