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ある吹雪の夜、グラミー賞発表がテレビ中継される。派手に着飾ったシンガー、ミュージシャンたちの登場を目にしながら、僕はふと考え始めた。思えば日本にいた頃、自分の好きな海外アーティストをテレビで観る機会はビデオ・クリップくらいなものだった。インタヴューの場面など稀で、その人柄に触れたり、彼らが日常何を考えて生きているのか、実際にどういう話し方をするのか、などを知る手がかりは欠如していた。その結果、彼らは神秘的な存在に感じたものだ。そして、いつしか憧れのスターのイメージはいわゆる「カリスマ」として一人歩きしていった。その後トロントに住んでから、いろいろこちらのテレビ番組を観るようになる。有名なミュージシャンは割と頻繁に音楽番組、トーク・ショー、リアリティ・ショーに出ているから、どうしても目に入ってくる。すると、しばしば僕は幻滅させられた。「したり顔でまことしやかなことばっかり言ってるけど、ちょっとハッタリ臭いぞ」、「この人、歌は下手なのに世渡りはうまいな」、「想像していた声とちょっと違う(それは本人にはまったく落ち度はないのだが)」などなど。知らなかった方がよかったことを知ってしまう。当たり前だがロック・スターは決して神ではない。とどのつまりがただの一芸能人に過ぎないのだ。何となく夢から覚めた気がした。(続)
ケン 吉岡
(トロント在住ミュージシャン、ハーモニカ・プレイヤー)ライブ:毎週日曜日 3:30pm
Sublime Cafe (219 Augusta, Kensington
Market) にて。カヴァーはチップ式。
ken0122yoshioka@yahoo.co.jp
www.myspace.com/kenyoshioka
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