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vol.80ジェフ・ヒーリーの思い出(2)

トロントに来てすぐ、修行時代真っ只中の僕は、東地区のブルース・クラブに足繁く通っていた。数曲づつ交代するジャム・セッションに参加するのが目的。他人の演奏を直に聞くのも楽しみのひとつだった。そんなところに、ジェフ・ヒーリーはある日ひょっこり顔を出したのである。ホスト・バンドと知り合いだったようだ。客はたったの15人程だったが、ジェフは気心の知れた仲間と楽しげに演奏を始めた。その生の音からは今まで耳にしたことのないような凄みが感じられ、僕は相当強く刺激を受けた。トロントに来て以来もっとも興奮したように記憶している。「やっぱり世界レベルは違う」、「とにかく音の歯切れがずば抜けていいんだよな」と繰り返し呟きながら家路についた。すっかり喝を入れられ、駅から走って帰らなければいけない気分になっていた。その翌年だったか、ついに僕もあるブルース・バンドに加わりハーモニカを吹き、プロのミュージシャンとして演奏活動を開始。ある夜ダウンタウンのバーにてギグがあった。すると1セット目の最中、何とジェフはフラッとビールを飲みに入ってきたのだ。一瞬メンバー間に緊張が走る。反応が気になったわけだ。それに、もし飛入りなどして数曲一緒に弾いてくれたら最高じゃないかと淡い期待も浮かべた。ところがどっこい、彼は一杯飲んだらとっとと帰ってしまった。僕らの演奏が気に入らなかったのだろうかと苦笑。今に見てろと悔しがったものだ。(続)

ケン 吉岡
(トロント在住ミュージシャン、ハーモニカ・プレイヤー)ライブ:毎週日曜日 3:30pm Sublime Cafe (219 Augusta, Kensington Market) にて。カヴァーはチップ式。
ken0122yoshioka@yahoo.co.jp
www.myspace.com/kenyoshioka

最終更新日 : [04/23]
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