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前回「故ジェフ・ヒーリーのクラブに出演する際、彼に捧げる演奏を行う」と言い放った僕は、偽善者の大嘘つきと思われるかもしれない。何故なら、実際ステージに上がった時にはジェフのことなどすっかり忘れて、出て来る音に神経の大部分を集中していたのだ。そのギグはトロントのブルース・シーンで飛ぶ鳥を落とす勢いのピアノ・プレイヤーでシンガー、Julian
FauthのCDリリース・ショー。各メディアでもプレヴューが取り上げられた大舞台だった。そういうシリアスな場面では俄然やる気が出る。一度ステージに上がると他のことは何も頭にない。自分で言うのも何だが、張り詰めるような集中力が込み上げて来てベストを出そうと必死になる。やる時はやると言うか、普段のぐーたらな人格は消え別人に変わる。まあ、ジェフ・ヒーリーならわかってくれるだろうけど、音楽を誰それに捧げるという行為は割と形式的なものだ。「誰それのために」と演奏中ずっと考え続けたら、雑念が混じって力が十分発揮できないし。持っているものを出し切った方が捧げられた方も嬉しいだろう。とにかく僕は音楽となるともう我を忘れる。それどころか他の物事すら一切忘れる。でもいいのさ。夢中になって自分の好きなことに没頭するということは、いい人生を送るひとつの鍵になるんじゃないかと思う(その趣味が高じて深みにはまったものだから逆にお陀仏か)。では、読者へのメッセージ的になったところでおさらばします。チャオ。
ケン 吉岡
(トロント在住ミュージシャン、ハーモニカ・プレイヤー)
今回を最後にブレイクを取ります。今まで読んでくれてドモ・アリガト。
ken0122yoshioka@yahoo.co.jp
www.myspace.com/kenyoshioka
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