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vol.41 掛け値なし

昔「あしたのジョー」で、紀ちゃんが「大抵の若者が青春を謳歌する中、殴り合いに夢中になっているだけなんて寂しくないの?」と問う場面があった。ジョーは「好きなことを一生懸命やってるのだから何の後悔もない」のようなことを語る。たしか「真っ赤に燃えて、後は白い灰だけが残る」という名文句で、ボクシングで完全燃焼する様を表現するのである。学生の頃ボクは、後先考えずに夢を追い掛けるということはなんてイカしているんだと単純にも感化され、その後の人生を半分棒に振った。馬鹿な男だと言ってくれたまえ。それで自問自答。「同世代の社会人は定職につき安定した生活を送っているというのに、いつまでもおもちゃみたいなハーモニカをプカプカ鳴らしてるだけで虚しくないの」→「ジョーの返事と同じ。でもちょっと虚しいかも…」。「今後生きていけるのかしら」→「一応生活はできてるけどねえ」。漫画と違うから現実を考えると厳しい…。そもそも漫画の中でも、紀ちゃんはジョーから去ってしまうし。それでも、どうしてもやめられない理由がある。演奏中、ふと最高の快楽を得る瞬間があるのだ。自分の可能性を最大限に発揮する時。バンドと一体となり、グルーヴに身も心も揺られる時。観客も息を飲んで音に集中する時。いくら札束を積んでも買えない、掛け値なしの瞬間があるのだ。そんな瞬間をあらためて味わった先日のCDリリースLIVEでした。それにしてもほとんど麻薬のようなものだ、音楽というやつは。

ケン 吉岡
トロント在住ミュージシャン、ブルース・ハープ・プレイヤー。ハーモニカ中毒。吸わないと苦しい。吹かないと唇が震える!?
ken0122yoshioka@yahoo.co.jp
http://ca.geocities.com/kenyoshioka99

最終更新日 : [09/08]
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