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13「ムーブマンは、人を動かす。」

ムーブマンは、スーパーヒーローの名前じゃないよ(笑)。これは、美術方法論において躍動感あるいは流動感の意味を持つフランス語なんだ。英語だとMOVEMENTだ。北斎の富士山の前に高波を配した作品、ジェフ・ウォールの作品、ロダンの彫刻などはみなムーブマンが作品の重要な鍵となっているね。
美術方法論とは前にも少し触れたけどアートをどうやって料理するか、レシピみたいなもの。ムーブマンの他にもまだいくつかレシピがあるから、これから一年かけて勉強していこう。
えー、美術史において重要な動向をアート・ムーブメントといいます。例えばフランスの印象派、キュービズム、アメリカやカナダの抽象表現主義など。ムーブマンはまた社会や政治の動向という意味合いもあるんだ。人種差別反対、性差別反対、戦争反対など「〜反対」、他にも「〜しよう」といったスローガンを持ったことは規模が拡大し社会的な動きになるとムーブマンになる。ここカナダでも、「癌と闘おう」って言ったテリー・フォックスがいるのは、知っているよね。最初はたった1人の人間が始めた事でも、大勢の人を巻き込んでいく事があるんだね。こういった真面目な事でなくても、スポーツ芸能などの他の分野でもムーブマンはある。
それから21世紀のムーブマンは「参加型」。誰か一人の英雄に皆が影響されるというよりも、口コミやブログなんかでどんどん広がっていく。参加した一人一人がきっとムーブマンを作っていて、例えばオタク文化はそういった意味ではムーブマン。アートに関しては、今まで「お手を触れないで下さい」という作品が殆どだったのに、「どうぞご自由に触って下さい」と鑑賞者の参加があって初めて作品が成立するというアートがどんどん増えている。
作品そのものの魅力はもちろん大事だけど、人々との関わり方も今日の多くのアーティストの最大の関心事なんだ。だから展覧会を観に行ったり作品に出会ったら、作った本人に色々話を聞いてみよう。きっと観に来た人と話したいと思っているはずだ。君の一言で新しいひらめきがあったり、アーティストの作風を変える事があるのかもしれない。それ自体ムーブマンなんだろうね。


だいすけ先生武谷大介(たけや・だいすけ)。
美術家。高校卒業と同時に17歳で渡米。ニューヨーク・アカデミー・オブ・アート大学院修士課程修了。一時帰国後、カナダに渡る。現在トロント市を拠点に作品を制作・発表。またラ・シタデール・インターナショナル・アカデミー美術講師として「アートの苦手な子をなくそう!」をスローガンに子ども達を指導している。その他、JAVAアドバイザー、フリーアートライターとしても活躍中。著書に「こどもの絵―eyes of a child (一莖書房)」がある。www.daisuketakeya.com

最終更新日 : [03/02]
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