Vol. 3 認知症を早期発見するために

 

bits

平均寿命が年々延びている近代社会、年齢とともに多くなる認知症も同時に増えています。中でもアルツハイマーなどの病気による認知障害は現在進行を止める治療法がなく、大きな問題となっています。
病気は何でも早期発見が大事です。アルツハイマーの場合でも症状の進行を劇的に遅らせることも可能になってきます。しかし、認知症の初期症状は一般的な老化現象と誤解されがちなことや、一人暮らしの方は症状の進行に周りがなかなか気づいてあげられないことなどから、発見は意外と難しかったりします。
今回は、物や言葉を忘れる等よく知られているもの以外の、見逃しがちな認知症の初期症状を挙げてみます。


物事を計画しなくなる 計画能力、記憶力の低下のために出てくる症状です。旅行の計画等が出来なくなったり、用事をダブルブッキングしてしまったりします。

グループの会話の中で黙りがちになる 言語能力の低下のため、聞き役にまわっているように見えて実は全く周りの会話についていけなくなっていることがあります。元々おしゃべりな方が最近いつも静かだ、というのは特に要注意です。

物忘れを指摘すると怒る 小さなミスを笑って流せなくなり、イライラしたり他人に当たってし まったりするというのは、自分の能力低下に気づいて密かに不安を抱えているという方に多い現象です。

今まで習慣的に行なってきたことをしなくなってきた 細かい順序のある動作や頭を使う行動(例:お化粧や手芸、新聞を読むなど)は、認知症の進行とともに普段の生活の中から徐々に消えていきます。理由を聞くと「面倒だから」「もう必要ないから」という答えが返ってくることが多いです。

早期発見のために最も大事なのは、過去の能力との差があるかどうかを見極めることです。例えば、若い頃から忘れ物をしがちな人であれば、年を取ってからもその癖は大体変わらないので、これは認知症の初期症状とはいえません。しかし、昔はとてもしっかりしていた人が近年小さなミスを日常的にするようになってきた、というのであれば、それが普通の人と変わらない程度でも、認知症の危険性があります。私の患者さんの旦那様は、元来とても聡明で社交的な方だったため、奥様が何度も医療関係者に「何かがおかしい」と訴えても「異常なし」という診断が下され、結局治療が遅れてしまったということがありました。

もしご自分や周りの方で認知症の可能性がある方がいらっしゃったら、すぐに家庭医に相談し、病院での精密検査の紹介をお願いして下さい。その際、先程の例のような誤診を防ぐため、普段の生活を詳しく知る者でしかわからない過去と現在の能力差を詳しく説明することをお勧めします。次回は認知症の予防対策についてお話ししたいと思います。

 

<Dr.コノミの心コロコロサイコロジー覧へ

<コラム一覧へ