Vol. 4 認知症を予防する意外な方法

 

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前回は認知症の早期発見についてお話ししましたので、今回は認知症自体を防ぐ、または初期症状の進行をなるべく遅くする方法について触れてみたいと思います。一般的に知られている方法としてはアミノ酸などの脳に良いとされる栄養を摂る、日常的になるべく頭を使う作業をする、などがありますが、今回はそれ以外の割と知られていないものについて説明します。


立ち上がる、歩く 運動が健康な身体の維持に不可欠なのはご存知の通りですが、毎日 20分のウォーキングが40〜50%も認知症のリスクを下げることはあまり知られていません。これは歩くことによって体全体の血流がよくなり、また脳神経細胞も活性化されるためです。このような運動ができなくても家の中でトイレのために立つ、家事のために歩き回るなどするだけでも効果は充分あります。病気や怪我で入院して寝たきりになったとたん認知症を併発してしまった、ということが多いのは、歩けないことにも大きな理由があります。介護をされる方は、身体能力が許す限り一日数回、数分でもいいから立って歩くという作業を介護計画に組み込むことを心がけましょう。

たくさん笑う 「笑う門には福来る」とはよく言ったもので、笑う、微笑むという行為が脳科学的にも身体、精神の健康維持にとても効果的なことがわかってきています。脳というのは実は単純なもので、楽しいと思っていなくても唇の両端を持ち上げるだけで、その筋肉の動きに反応してエンドルフィンなどのストレス軽減に役立つホルモンを分泌します。これがストレスによる脳のダメージを防ぐのです。認知症患者が日常的に笑うことで徘徊や興奮、暴力などの行動症状が軽減されたという研究結果も日本で報告されています。

睡眠をしっかりとる睡眠不足からなる様々な病気のうちの1つに認知症があります。身体が休まらないために糖尿病などの認知症につながりやすい病気を引き起こすほか、最近の研究では日常的な睡眠不足が脳細胞の死亡の直接の原因となることがわかってきました。さらに、物事を記憶するには脳細胞同士の連結が必要ですが、この連結作業が睡眠中に行なわれるため、睡眠が十分でないと記憶力に障害が出ることも明らかになっています。最低限必要な睡眠時間には個人差があり、また睡眠の質も大事なため絶対的な数字はありませんが、朝起きた時に前日の疲れが残っていない程度の充分な睡眠を心がけてください。

こうしてみると簡単な日常の行動が、実は私たちの脳の健康に意外なほどの影響を与えていることがわかります。もし認知症を発症してしまっても、症状を軽減できることもありますので、あきらめずに健康的な生活を心がけましょう。

 

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