Vol. 5 住まいでわかるあなたの心理状態

 

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風水の基本概念に「家は心の鏡」というのがあります。住まいが綺麗だと良い気が家に入って自然と心も安らぎ、幸せになれるというものです。そして逆もまた然り。この住環境と心理状態の関連性は、実は近年臨床心理学の様々な研究において実際に証明されてきています。


「捨てられない」のは不安の表れ 「後でいるかもしれない」「どれを捨てたらいいかわからない」といって不要な物が捨てられず、蓄積した物が邪魔して掃除もままならない状態の部屋というのは、その中にいるだけで心が休まらないものです。捨てる決断ができないというのは、自分の判断力、つまり身の回りに起きる物事に的確に対応する能力に自信がないことを表しています。こうした自信のなさは不安症の原因の大きな一つです。そして、 不安でばかりいると気分が落ち込み、鬱状態も引き起こすことがあります。こうした患者さんにお話を聞くと、お部屋の不要な物同様、心の中にたまった様々な過去の後悔や未来の心配事でいっぱいなことが多いのです。実際、不安症や鬱の患者の部屋は不要なものであふれ雑然としている傾向があることが統計的にもわかっています。

「片付けられない」のは混乱を意味する 「洋服や小物があるべき場所に戻されず散らかったままの部屋は、混沌とした精神状態と比例します。忙しく片付けに手が回らないというのも、それだけでその人の心が休まってい ない状態がわかりますよね。「単にものぐさで」「いつもこうだから気にならない」というのは実は混沌に慣れ てしまっただけで、精神衛生上良い状態とは言えません。近年の研究では、注意欠陥/多動性障害(ADHD)や統合失調症など、思考や行動の一貫性に欠ける症状の多い精神障害があったり、ひどい鬱で片付ける気力もなくなってしまった人々に、この傾向が高いこともわかっています。

あまりに完璧に綺麗なのも問題生活する中で部屋に多少の散らかりや汚れが出るのは当たり前のことですが、たまに、いつも完璧と言えるほど塵一つなくきちんと整理されているお部屋を見かけます。こうした部屋は一歩入るのも緊張します。お部屋の住人もいつもこうしたぴりぴりした精神状態にあるのです。しかも、物や家具はある特定の決まりに従って整理されているため、その秩序を乱すことは住人の心の秩序を乱すことにもなります。「物事は絶対こうでなければならない」といった頑固さは、実は「こうでなければ不安で仕方がない」という意味なのです。きれいすぎるお部屋も心の不安の表れと言えます。強迫性障害の方にこの傾向が強いのはそのためです。

私のクリニックでは、鬱や不安の症状の改善方法の一つとしてお掃除、片付けをお勧めすることがよくあり、後に患者さんから驚くほどそれが効果的だったというお話を聞きます。心がなんとなく休まらず疲れて いる時は、お住まいのお部屋の状態をチェックするといいかもしれません。

 

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