カナダで不登校になった場合


近年、ジャパニーズ・ソーシャル・サービス(JSS)に寄せられる相談のうち、「子どもの不登校」に関するものが増えています。『日本においても解決の難しいこの問題、ましてやこの異国カナダで子どもが不登校になった場合にはどう対処していけばいいのでしょうか?』という方々に向けての情報です。

オンタリオ州では、法律上6歳から18歳までのすべての子どもたちが学校教育を受けることになっています(州によっては、16歳で義務教育が終了するところもあります)。

この法律があるため、いわゆる現地校で不登校になる子どもが出てくると学校は、その子の保護者に連絡をとり、状況の解決がはかられます。大まかにまとめると以下の4つのサポートが、すべての現地校で受けられるはずです。

1)校長および担任との面談
2)スクールカウンセラーとの面談
3)スクールサイコロジストとの面談
4)教育委員会によってはアテンダンスカウンセラーを置き、より具体的・専門的なアドバイスの提供

不登校の状況にいる子どもが、学校の先生、またはカウンセラーなどと面談して話ができる状態にあるなら、これらのサポートはとても効果的だと思います。もちろん、どこまで学校側が親身になって相談に乗ってくれるかはまちまちですが、「もし生徒が学校に来て面談するのがいやならば、自宅まで行ってお話をすることも可能です」と言ってくれるような学校もあるようです。不登校の状態にある子どもたちの多くは学校に関わるすべてのものとの接触を避けようとする傾向があると言われますが、そのような場合にも、現地校のほうで、外部の相談機関を紹介してくれるようです。

これらのサポートを利用して、その現地校に再び通い始めることができたならいいのですが、実際には、なかなかそうならないケースも多いでしょう。もちろん、不登校の原因によって対処法は違ってくるのですが、どうしてもその現地校に戻れない場合には、以下のようなオプションがあります。

1)その他の全日制の公立校または私立校への転校
2)オルタナティブ・スクール(Alternative School)への転校
3)ホーム・スクーリング

日本と同様に、オンタリオ州の公立学校のシステムにおいて、子どもがどの学校に通うかはその子どもの居住地がどの学校の通学エリア(School Attendance Area)に入るかによって規定されますが、学校や教育委員会と相談し事情がわかってもらえれば、いわゆる越境入学および「その他の全日制の公立校への転校」も可能です。しかし、日本と違って各学校ごとに教育カリキュラムの組み方が大きく異なることもあるので、このオプションをとる場合にも、綿密な話し合いが必要です。

オルタナティブ・スクール(Alternative School)とは、従来の画一化された教育システムに合わない子どもたちを対象とし、独自の教育理念、教授方法、またはカリキュラムに基づいて運営されている学校で、公立のものと私立のものがあります。従来の学校にくらべて、より一人ひとりの生徒のニーズに応じたスタイルで学習できるようになっているようです(例:授業を午後のみ受ける、週に2日だけ学校に行く、テストがない等)。日本でも最近たくさん見られるようになった、いわゆるフリースクールに近いシステムですね。


School Bokehby by shinealight www.flickr.com

ホーム・スクーリングとは読んで字のごとく、各家庭がその子どもの学校として教育を施すシステムで、カナダのすべての州およびテリトリーにおいて正式に認められている(合法な)教育システムです。家庭教師を雇ってこの制度を利用している家庭もありますが、たいていはその子の保護者が州の発行しているガイドラインに基づき教育を行うようです。詳しい説明については以下のリンクを参照下さい。
ontariohomeschool.org/FAQ.html#makinglegal

現地校を通してのサービスはほぼ間違いなく英語でのサポートになると考えてよいでしょう。しかしながら、日本からカナダに来て、英語環境になじめないために学校がつまらなくなり不登校になる子どもたちも多いようです。英語環境またはカナダの学校環境への不適応から不登校になっている子には、日本語による心のケアのワンクッションを入れてあげると、上記したようなオプションへの移行を図ることが容易になります。

私は日本の公立中学校・高校で勤務している間、不登校の状態にいるたくさんの生徒と話してきましたが、その理由は本当に様々で、不登校をしている本人もその理由が分からないことも多々ありました。子どもが不登校になると、その保護者もどう対処していいかわからず、心配とストレスのあまり疲労困ぱいしてしまうケースも多いようです。

一人で頑張り過ぎないでください。頑張り過ぎの状態が長期間続くと、その無理している分が必ず心と体にはねかえってきます。不登校の状態にある子どもたちのためにも、様々なサポートを提供できるリソースをどんどん利用して必要な情報を集め、子どもに一番適した学習環境を与えてあげることが大事だと思います。不登校の期間が長ければ長いほど、学校環境に戻ることが難しくなります。もし、そのような兆候が見え始めたらできるだけ早くサポートしてあげることが大切です。

この記事に関してご相談がある場合には、JSSまでお問い合せ下さい。
【ジャパニーズ・ソーシャル・サービス(JSS)】
www.jss.ca
Tel:416-385-9200
カウンセラー:公家孝典