キャシーの日々ハッテン day.104(2015年10月2日記事)

ナイーブな新入生とバックラッシュの秋

バック・トゥ・スクールと学生たちが大騒ぎの中、フルタイムで働いているので夏休みなんてなかったのに、なぜか自分も一緒になってウキウキしていた。大学に入ったばかりで、右も左もわからない自分は一気に広がった世界に圧倒されながらも目を輝かせていたっけ。

あの頃の自分と同じように、夢見るナイーブな新入生たちの目の前にある可能性は無限大だ。そんな彼らを囲い込もうと、この時期は様々な運動が盛んになる。フェミニズムやLGBT、バリアフリーや環境問題、多くの学生主導の社会派団体が新歓に頑張っている。しかし、トロントにある各大学では、こうした団体に紛れて問題のあるポスターがたくさん現れた。特に、有色人種生徒団体に対抗して登場した白人生徒団体のポスターは大きな話題となった。もちろん、悪い意味で。少しでも歴史や市民権運動を勉強していれば、白人の生徒だけで形成された団体がどうして問題なのかすぐにわかるはずだが、わからない人にはわからない。「どうして有色人種の生徒には団体があるのに、白人の生徒には団体がないなんておかしいじゃないか!」そんなあたかも筋が通っているような主張を鵜呑みにしてしまう人は驚くほど多い。ナチス・ドイツやKKKの残酷な歴史からは100年も経っていない。多くの血や涙が流れて、やっとの思いでここまで来た社会を押し戻しているとも気づかずに情熱を燃やす新入生を見かける度に、頭を抱えてしまう。どうせ参加するなら、せめてそれが人種差別への加担であるとわかって参加して欲しい。社会に正義と平等を築きたいんだと本気で信じながら、白人生徒団体に参加してしまうほどの皮肉はなかなかない。コメディとしてなら満点だ。「お願いだから、目を覚まして!」といくら訴えても、一度信じてしまった人を変えるのは容易ではない。

食欲の秋、芸術の秋、読書の秋と素敵な秋がたくさんある横で、毎年こうしてバックラッシュの秋も密かに起きている。実に残念だ。真っ白なキャンバスは何色にでも染められる。まだ未熟で何色に染まればいいかわからないなら、急がずに慎重に選ぶべきだ。大学生時代を振り返って、人種差別に汗を流していたなんて笑い話にもならない。


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