キャシーの日々ハッテン day.108(2015年12月4日記事)

黙って話を聞きなさい

「ゲイってこうだよね」とゲイではない人に自信満々に言われると、本当に頭に来る。ネットで拾ってきた記事をたくさん読んだのか、友達にゲイが多いのかわからないが、まるですべてわかっているかのような顔をしているから余計にイライラが募る。ゲイのことについて熱心になってくれるのは悪いことではないのに、どうしてここまで怒りがこみ上げてくるのだろうか。

ゲイとして他の人たちと一括りされたって、今まで生きてきた経験は自分自身のものだ。自分が何を感じたのかは、他の人にはわからない。同じゲイであったとしても、人それぞれ違う経験をしている。たとえ全く同じ境遇で同じ体験をしたとしても、どう感じるのかは人によって様々だ。学校でいじめられた経験で反骨精神を養った人もいれば、それで自殺に追い込まれる人もいる。どちらの経験も本物だ。自分の経験は他の誰にもあげられない自分だけの宝物だ。もしもそれを知りたいという人がいれば、物語として話してあげるかもしれない。しかし、そこで勝手に代弁されては、その大事な宝物を奪われたような気分になってしまう。この悔しい気持ちを他の人に打ち明けてみると、驚くほど多くの人が共感してくれた。とある友人は女性として夜道を一人で歩く不安を話す度に、他の男性から自意識過剰と笑われるそうだ。相手には悪気なんてないのかもしれないが、彼女は自分を否定されたようで毎回ひどく落ち込むという。女性であることだったり、アジア人であることだったり、重い病を患っていることだったり、そうした境遇をわかったかのように他人に説明されるのは気持ちがいいものではない。

「じゃ、どうすればいいの? 黙って話を聞いていればいいの?」この問題を持ち出せば、必ずこうした反応をもらうが、その通りだ。黙って他の人の話を聞けばいい。相手にしかわからないことを勝手に自分の解釈で説明してしまうのは失礼だ。そんな軽率な態度は相手の経験を軽視し、相手の存在に価値を見出せないと言っているのと同じ。人間として、相手の話に耳を傾けるのは最低限のリスペクトである。相手の話を聞いて、自分の経験と重なる部分があるのならばシェアすればいい。私たちは、そうやってお互いの経験から学んできたのだ。


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