キャシーの日々ハッテン day.127(2016年9月16日記事)

男が台所に立って何が悪い

すっかり健康オタクに変身した母はネットで見つけた超ヘルシーなレシピを毎日のように送ってくる。数年前までメールも使えなかった母は、シンプルになったテクノロジーのおかげで今や写真からボイスメッセージまで使いこなしている。生まれて初めてのスマホとインターネットがすっかり気に入ったようで、流行りの健康法を学ぶのに夢中である。それ自体は喜ばしいことだが、母からの健康レシピのリンクで自分の携帯が埋め尽くされると少し頭痛がしてくる。「痩せなさい」というデジタル説教は見なかったことにしよう。

20年前、母は男性が台所に立つことを嫌がっていた。「男が料理上手になると、将来お嫁さんをもらった時に喧嘩になるよ」。そんな母の言葉は今でもよく覚えている。しかし、料理上手だった母を見て育ったからか、10歳になった頃から料理に興味を持つようになった。家庭科の授業で習ったビーフシチューのレシピを家族に披露したり、料理番組で学んだエビチリのレシピに挑戦して大失敗したりした。女性と結婚することはないだろうと密かに思っていたからか、それとも時代遅れなジェンダー観に反抗したくなったのか、母に何を言われようと台所に立つことはやめなかった。仕事の忙しい両親の負担を減らそうと、中学生になると自分のお弁当を用意するようになった。大学生になると二日酔いの朝に鶏ガラスープやおかゆをよく作っていた。そうやって料理の腕を少しずつ鍛えておいたおかげで、トロントに留学して一人暮らしをすることになっても自炊ができた。今の彼氏だって手料理で釣れたようなものだ。子どもの時に母の言葉を信じて料理を止めていたら、きっとまた違う道を歩んでいただろう。親の言うことは絶対という人もいるが、たまには逆らうのも悪くない。

そんな母も今ではすっかり意見が変わったようだ。しかし、「男は料理しちゃダメ」が「白米ばかり食べてると体に悪いから、玄米を食べなさい」になっただけとも言える。親の説教はテクノロジーが発達しても説教のままだ。何歳になっても、親の言葉に耳を傾けたくない反抗心は相変わらずだ。母が送ってくるアドバイスを完璧に無視しながら、ふっくら炊けた白米をおかわりした。



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