キャシーの日々ハッテン day.30(2012年9月7日記事)

モーメント・オブ・サイレンス

 今年、ずっと行きたかったモントリオールのプライドパレードについに参加した。違う都市に行けばプライドのカラーも変わるし、トロントでは会えないようなイケメンにも巡り会える。独身ではないあたしでも、たまには目の保養が必要だ。トロントとは違い、8月下旬に開催されるモントリオールのプライド。いつもならパレードを見るより歩くキャシーだが、今回はコネもないので道ばたから健気に応援することになった。モントリオールのパレードはトロントのより規模が小さめだ。もちろん、小さいからといって悪いわけではない。ローカルな団体や政治的なメッセージが派手な広告に隠れずに存在感を放つ、とても元気なパレードでもあった。
 ちょうどキャシーの前を永遠のゲイアンセムである「Y.M.C.A.」にノリノリになって踊るお爺さんたちを乗せたトラックが通りかかったとき、急に音楽もパレードもすべて止まり、周りが一斉に静まり返った。そのまま一分ほど、数千人いるだろう観客は沈黙を守り、モントリオールの大通りに鳴り響くのは風の音だけとなった。そして、どこからか聞こえた合図と共に、お爺さんたちはまた「Young Man!」と歌いながら踊り始め、パレードはまた進み始めた。特に説明もなかった沈黙の一分間を不思議に思った自分は友達に聞いてみた。彼が口を開く前に「あれはエイズで亡くなった人たちを追悼するためのモーメント・オブ・サイレンスだったんだよ」と隣に立っていたおじさんが割り込んできた。「こういうのトロントのプライドにはないよね」とあたしの友達はボソッとそれに続けた。大きければ大きいほど良いというけど、やっぱり大切なのはサイズじゃなくて中身ね。


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