キャシーの日々ハッテン day.88(2015年2月6日記事)

ブロンドとブルーアイズに憧れて

「私もカナディアンみたいにブロンドとブルーアイズだったら、もっと幸せになれたのに。髪の毛を染めたって、カラコンを使ったって、彼らみたいに綺麗になれない」。そんなことを真剣に話している人に最近出会った。こちらから見ればその人は整ったルックスで、確実にモテる部類に入る。しかし、それに気付いてないのか自分自身を醜いと信じていた。カナディアンとして生まれなかったという理由で落ち込むその人に、「マルチカルチャーなカナダで、カナディアン=ブロンドとブルーアイズという認識は間違ってるよ」とはとても言えなかった。

世間ではこういう人を「白人コンプレックス」と呼んだりするが、そう感じる人は実は少なくない。多文化都市のトロントでさえ、メディアや政治の中心にいるのは有色人種ではない。ハリウッド大作の主役やビルボードのヒットチャートのトップを飾る顔ぶれは相変わらずである。役者を目指しているアジア系カナダ人の友人は、いくら才能があっても肌の色が理由で需要はないと言う。行き場のない他のアジア系役者と数少ないアジア人の脇役枠を争って勝ち取って、やっと少し注目されるのが現状だ。特に北米で生まれ育った場合、アジア人は自分と同じ人種がメディアや政治、スポーツで活躍することを目にする機会が少ない。そんな環境の中にいては、セルフイメージの発育に悪影響が生じることを多くの研究が立証している。それを考えると、ブロンドやブルーアイズに憧れてしまう人たちの気持ちも少しわかってくる。

昨今のソーシャルメディアの躍進によって、アジア人の若者たちがアートやメディアを創り発信するようになった。ユーチューブやタンブラーで活躍する彼らの姿は、きっと多くの人に勇気や自信を与えているのだろう。彼らの作り出す小さな波がいつか大きな波となって社会を変えることを心から祈っている。


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