キャシーの日々ハッテン day.89(2015年2月20日記事)

ゲイはもうサプライズじゃない

彼氏の職場パーティに招待されて、フォーマルな格好で決めるか派手めなシャツで行くか迷っていたら横から突然忠告された。「うちの上司、僕が誰かを連れていくことを知らないんだ。ゲイだとも思われてないみたい」。別にゲイだと隠していない彼氏だが、口数が少ないために周りから勝手にストレートだと思われることが多い。彼氏がゲイだと知る同僚は二人だけで、他の人たちは疑ってもいないらしい。派手な方のシャツに袖を通しながら、今夜のパーティで自分がビッグサプライズとして主役を勝ち取ると確信した。

パーティ会場に到着すると、まだ早かったのかオードブルが並ぶテーブルの横に数人集まっていただけだった。こちらに気付いて振り向いた彼らは、見慣れない大男を見て少し困惑した。彼氏の上司は一瞬の硬直の後、「謎はすべて解けた!」とでも叫びたそうな表情で出迎えてくれた。「え? 君ゲイだったの?」とか失礼な反応はもちろんなく、何事もなかったかのように自己紹介を交わした。さすがにプロフェッショナルだ。そうして、唯一のゲイカップルである私たちはすんなりパーティに来ていた人たちと打ち解けた。後から到着した人たちもビックリするくらい誰もゲイということに驚かなかった。パーティでこんなに存在感がないなんて新鮮だった。トロントの都心部で働いていれば知り合いにオープンなゲイがいない方が珍しいのか、とてもフツーな光景だったのだろう。

後日、仕事から帰ってきた彼氏に職場で何か言われなかったかと聞けば、「誰も何も言わなかった」とあっさり返された。ゲイというだけで騒がれたりしないのはむしろ喜ばしいことだ。それなのに、なぜか悔しさが募って今度の職場パーティにはもっと派手なシャツを着て行こうと固く心に決めた。主役の座はやっぱり譲れない。


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