カナダのビザ&移民事情

Vol. 1 外国人労働者排斥の危険な罠。

(2014年4月4日記事)

 

今回は新しく改正された外国人一時就労者プログラムについてお話します。

昨年4月にRBC(Royal Bank of Canada)が外国人一時就労者プログラム(TWFP)を悪用していた事件が発覚。そのため約3か月後の7月31日より労働技能開発省(ESDC)のジェイソン・ケニー大臣によるTWFP に関する改革が矢継ぎ早に進められている。12 月31日にはその根拠となる移民法改正が完了した。改革のためのインフラ整備が着々と進められる中、特にオンタリオ州では、外国人にワークパミットを出すために雇用主が必要なLMO(Labour Market Opinion)の取得が非常に困難な事態となっている。

これまで比較的取得し易かった職種においても、オフィサーが許可を出し渋っているのは明らかだ。LMO 取得に際して広告を出すのが条件の1つだが、その広告に関してもともと必要条件となっていない点を持ち出して却下理由としたり、かろうじて許可を得るにも追加資料を要求されることが多くなっている。また却下理由が見当たらない場合は、“ 人材不足は見受けられない”、“この程度の仕事なら経験がなくても大卒のカナダ人をトレーニングすれば使えるはず” などと、オフィサーの主観で何とでも言えてしまう理由で却下に持ち込もうとする。まず却下ありきで、例外的に許可するためにはスーパーバイザーの承認が必要なようだ。

さらに外国人雇用の門を閉ざす決定的な要因となっているのが、英語、フランス語以外の言語能力を応募要件に入れることの厳しい制限(移民法203 条1.01 項)である。移民法上は特定言語使用の必要性を正当化できる場合は、例外としてこれを認める場合もあるとなっている。しかし、先日オフィサーが会話の中で明かしたところによると、日常の業務時間中100%その言語を必要とするツアーガイドや翻訳者以外は全て却下するように大臣から直接指示が出ているという。こうなると言語能力を理由にこれまで許可されてきたポジションの多くは、今後LMO を取得できないということになってしまう。現ハーパー政権が経済政策の成果を最もわかりやすく国民にアピールする手段として、カナダ人の失業率低下を示したいのは理解できる。そして今のところ外国人労働者の排除政策は世論の支持を受けているように見える。

しかし、やむなく生産性の低いカナダ人を雇用することを強いられた雇用主にとってみれば、一時的にトレーニングコストがかさむだけでなく、実際に外国人を雇用することができれば可能だったはずの事業展開ができなくなり、経済は逆に停滞するのではないかと思う。ビジネスの現場を知らない大臣とそれにただ従うしかないオフィサー。そろそろビジネス界が一丸となって立ち上がり、大臣と直接対峙する時期に来ているのではないか。

 


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