カナダのビザ&移民事情

Vol. 5
うまい話には罠がある? “簡単”な移民プログラム

(2014年8月1日記事)

 

今月は、最近注目が集まっている州指名 プログラムの、

現状とリスクについて説明します。


連邦政府の移民プログラムが年々厳しくなる中、州指名プログラム(PNP)やケベック州プログラムに注目が集まっている。実際、2014年はPNPから4万6800人、ケベック州から2万6600人の永住権発行が予定されており、既に経済移民の半数近くまで占めるようになっている。スキルワーカーは語学スコアの提出が免除されており、州によってはロースキルワーカーのためのプログラムも整備されている。各州当局は様々なプログラムの導入によって人材確保に躍起 になっているといえる。しかしながら、こうしたプログラムからの申請にあたってはいくつか留意する点がある。

まずプロセスタイムについては、従来PNP は連邦政府に比べると審査が早いことが売りの1つとなっていたが、現在ではカナダ経験クラスのように1年以内にほぼ全プロセスが終了するのに対して後塵を拝している。さらに、州ごとに1年間に承認できる数が割り当てられており(例えば、BC 州4150人、オンタリオ州2500人など)、申請者が増えればその分プロセスタイムは長くなる。また、州審査後に連邦政府の審査があるため、トータルのプロセスタイムは長期化の傾向にあるといえよう。

次に、PNPは法律の根拠が不要なので、突然のプログラムの中止、申請要件の変更は日常茶飯事だ。最近ではマニトバ州が2つのプログラムを7月31日付で受付を一時停止した。ジョブオファーなしで申請できるという理由から申請者が殺到していたと思われるが、こうした“簡単” に見えるプログラムほど突然中止されるリスクは高い。一方、ケベック州でもジョブオファーなしで応募できるプログラムがあるが、中級レベルのフランス語を必要とするため、申請に至る前に 自然淘汰され申請者が急増することはない。プログラムの選択は以前にもまして重要である。

さらに、PNPは一般的に“ 州との結びつき” を重視する傾向にある。親戚や友人が住んでいるだけで有利になるマニトバ州は極端にしても、他州に長期滞在していた申請者がPNPの申請のために一時的に移動して申請したとしても、州との結びつきの弱さは申請結果に不利に働く可能性が高い。

特に急増した申請者を選別するために、こうした主観的な理由が使われやすい。これらのことから、州指名プログラムの選択に当たっては、各州のプログラムを比較して簡単なところを選ぶといったアプローチよりは、真っ当と思われるプログラムを慎重に選ぶこと、そして、その州に落ち着き長期戦を辞さない覚悟があるかどうかという点も含めて、考えてみることをお勧めする。

 


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