カナダのビザ&移民事情

Vol.20
移民審査における 犯罪歴の扱われ方

(2015年11月6日記事)

 

今月はカナダの移民申請の際に、犯罪歴がどのように影響するのかについて取り上げます。


カナダ移民申請の際には、原則として18歳以降に連続して6か月以上滞在した、全ての国からの警察証明書の提出を求められる。家族を持つ場合は本人だけでなく、配偶者や同伴資格のある18歳以上の子どもの警察証明書も提出しなければならない。それでは、カナダ政府は移民審査にあたり犯罪歴をどのように評価し、永住権発行の可否を判断するのだろうか。例えば、配偶者が過去に万引き(窃盗罪)で起訴されたことがある場合、主申請者本人の移民申請にはどう影響するのだろうか。

移民審査においてオフィサーは、カナダ国外で犯した犯罪がその国でどのように処理され、実際にどのような刑罰を受けたのかについては問題にしない。むしろ、同じ犯罪をカナダ国内で犯した場合に、カナダの刑法に照らしてどのような刑罰が下される可能性があるかに焦点が当てられる。万引きを例にとると、カナダで5,000ドル以下の万引きで起訴された場合、罰金ではなく2年以下の懲役となる可能性がある (刑法 334条)。このため、仮に日本での万引きが略式起訴で済んだとしても、移民法36条によりInadmissible(不適格)となり、移民申請が却下されことになる。なお、主申請者本人ではなく前述した家族の一員に不適格者がいる場合も、家族全員が申請を却下される。

しかし、有罪判決を受け、刑期を終えてから(罰金を科されただけの場合は罰金を支払った日から)10年を経過し、その間に他の犯罪を犯していなければ、Inadmissibleが克服されたとみなされる。これをRehabilitation(適格性の回復)と呼んでいる。さらにこのケースの場合は、10年を待たずに、刑期を終えてから5年後にはRehabilitationの申請を行なうことができ、これが認められれば、永住権取得を早めることができる。

以上のように、犯罪歴が絡むケースは複雑である。仮に母国では10年以上の刑に処せられる場合であってもカナダにはそのような法律が存在しなかったり、軽微な犯罪として扱われている場合もある。また、犯罪を犯した時期によってはRehabilitationが適用される場合もある。従って、犯罪歴があるからといって移民申請を諦める必要はない。だが、移民申請には大した影響はないだろうと勝手に解釈することも避けるべきだろう。

 


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