カナダのビザ&移民事情

Vol.23
カナダ政府が抱える “家族の再統合”政策問題

(2016年2月5日記事)

 

今月は親・祖父母の呼び寄せ移民プログラムの現状とスーパービザについて解説します。


今年1月4日に親・祖父母の呼び寄せ移民プログラムの申請書受付が開始されたが、3日後には最大受付数の5,000ケース(その後10,000ケースに増やすことを政府は約束)を上回る14,000の申請書が届き、直ちに受付が停止された。受付開始日前に届いたり、最大受付数から漏れた申請書は返却される。年末年始の休暇を準備に費やした多くの申請者の時間と労力がまた無駄に終わることにカナダ政府は無頓着だ(休暇返上と言えば話はそれるが、サービス・カナダ職員が12月31日の午後2時過ぎに1月4日までに追加書類を提出するようにと通知してきたのには心底呆れた)。

このプログラムでは4年前に受理した申請書を現在審査中だという。このような理不尽なプログラムは無視するのが賢明だが、カナダ政府もそれを意図しているふしがある。政府は申請書受付停止の告知と同時に、親・祖父母のスーパービザ申請を強調している。スーパービザは永住権ではないので2年ごとに延長しなくてはならず、また州の健康保険にも加入できないのが難点だ。しかし日本のようにビザ免除国の国籍保有者の申請料は無料で、申請が却下される可能性は低い。

スーパービザの申請要件の最も重要なポイントは収入である。スポンサーとなる申請者やその子どもの収入が毎年カナダ統計局が発表するLow Income Cut Offを上回ることが必要だ。この金額は家族のサイズによって変わり、スポンサーが配偶者と子ども2人の4人家族であり、両親を呼び寄せる場合の家族メンバー数は計6人となり、$57,826(2016年現在)の年収が必要となる。一方、移民申請による親・祖父母の呼び寄せではこの金額の30%増を過去3年分証明しなければならず、スーパービザの申請の方がはるかに容易だ。この他、健康診断をパスすること、カナダの民間健康保険に少なくとも1年加入することが求められる。

話を親・両親の呼び寄せ移民プログラムに戻すと、家族の再統合(Family Reunification)は自由党政権が掲げる移民政策の柱の1つだが、単に受け入れ数を増やすだけでは何の解決にもならない。このプログラムに限っては、First Come, First Served ポリシーを捨て抽選にすることを提案したい。少なくともホリデーシーズンに移民申請の準備などさせず、家族とゆっくり時間を過ごすことを奨励するのがカナダらしいやり方ではないのか。

 


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