カナダのビザ&移民事情

Vol.24
カナダ政府が抱える “家族の再統合”政策問題

(2016年3月4日記事)

 

今月は最近活発に行なわれるようになった、外国人就労者を雇用する企業へのインスペクションについてです。


昨年末頃から外国人就労者を雇用する雇用主に対して、約束した就労条件が守られているかどうかのインスペクション(検査)が活発にされるようになった。以前はワークパーミット申請のために必要なLabour Market Impact Assessment(LMIA)の新規申請が引き金となって、過去に約束した条件の遵守状況確認のためにされることが多かった。だが最近では、以前LMIAを発行した雇用主に対して無作為に通知が送られてくる。そしてこれは、駐在員など雇用主の名前の入ったLMIA免除のワークパーミット保有者を雇用する企業に対しても対象が広げられつつある。さらに、まだ実施されてはいないようだが、立ち入り検査も計画されている。外国人就労者を雇用する企業にとっては思わず委縮してしまいそうな話である。

主な検査内容は、約束通りのポジション・職務内容か、就労時間や賃金が守られているか、州の労働・安全基準を遵守しているかである。特に賃金の支払いについては残業代、休暇手当はもちろん、休日手当ての計算まで問われることもあるので、これを熟知した会計士との連携が欠かせない。約束された報酬額と実際に支払われた金額との間に差異がある場合は、これに対する説明を求められ、オフィサーが納得できなければ差額分の補填を求められる。通常、検査対象となる期間や外国人就労者は限定されるが、違反が見つかるとその対象が拡大される可能性があり注意が必要だ。

昨年12月1日以降、違反に対する処罰が厳しくなり、課せられる罰金は違反の種類や程度により1件あたり500ドルから10万ドルまで、罰金額の合計は最大100万ドルに設定された。さらに違反の度合いが重い企業は、1~10年間(最悪の場合永久に)外国人就労者の雇用が禁止され、その企業名は政府のサイト上で公開される。但し、2016年2月現在、このブラックリスト上の企業は4社に留まっており、不当な処分に対する訴訟を恐れて政府側も慎重になっているのが伺われる。

検査によって外国人雇用の慣行が改善されることは、外国人就労者にとっては歓迎すべきことである。また雇用主にとっても、これまで平気で違反を繰り返してきた雇用主が今後外国人就労者を雇用できなくなり、真っ当なビジネスを行なってきた企業が、より公平な競争環境の中で優れた人材を確保できるチャンスが増えると前向きに捉えたい。

 


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