カナダのビザ&移民事情

Vol.26
Express Entry 開始一年後の総括

(2016年5月6日記事)

 

今回は、先日カナダ移民・難民・市民権省から発表されたExpress Entry開始1年後の総括と今後の改定の方向性について取り上げます。


2015 年1 月より導入されたExpress Entry の主要な目的は、1)申請書受付数のコントロール、2)労働市場と各州ニーズへの迅速な対応、3)プロセスタイムの短縮だ。昨年1年間に発行された移民申請の招待状ITA(Invitation To Apply)の数は、旧システムの未審査ファイル数を考慮して抑えられ、31,000 に留まった。また2015 年の上半期にはLabour Market Impact Assessment(LMIA)を取得したカナダ経験クラスからの申請者を優先した選定が行なわれ、飲食業界からの申請者に対し多数のITA が発行された。このシステムからの申請者の80%が6か月以内に審査を終了していることから、ある程度政府側の思惑通りの結果になったといえる。しかしながら一方では、さまざまな問題点が指摘されている。

まずオンライン申請システムに対する信頼性の回復は急務だ。頻繁なシステムダウン、予告なしのメンテナンスによって申請の締め切りを逸したり、入力内容が消えてしまい再度作業をさせられるといった苛立ちの声が上がっている。また追加ドキュメントを送っても担当オフィサーに届かず、申請を却下されたという事例も報告されている。

次にExpress Entry により不利な状況に置かれている留学生と、LMIA を免除された外国人就労者の救済も急がれる。留学生がITA を発行されるレベルのスコアを取得するためにはLMIA がほぼ必須だ。しかし留学生が卒業後すぐにその職種の平均賃金をオファーされ、リクルート活動によりカナダ人の中に適任者が存在しないことを証明するなど不可能に近い。また北米自由貿易協定(NAFTA)や企業駐在員(シニアエグゼクティブやスペシャリスト)などLMIA を免除された外国人就労者も、同様に永住権申請用にLMIA を取得しない限りITA を発行される可能性は低い。たとえ企業にとって欠かせない人材で恒久雇用したい場合も、煩わしいLMIA に時間を使うことを考えると躊躇せざるを得ない。

カナダ当局は留学生に対して追加ポイントを与え、LMIAの適用について再検討するとしているが、放置すれば有能でカナダ経済に寄与する人材を次々祖国に帰してしまうことになるので、迅速な対応が望まれる。またオンラインシステムの脆弱性については早急な改善を期待したい。

 


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