カナダのビザ&移民事情

Vol.27
虚偽申請の 適用範囲について

(2016年6月3日記事)

 

今月は移民・難民保護法(IRPA)第40条に規定されている虚偽申請について最近の判例を使って説明します。


弊社が実際に遭遇したケースには“移民申請に通るよう職歴のレターを偽造して欲しい”、“IELTSのスコア「全スキル6以上」は取れそうにないので職種を変えて申請したい”、“中国の警察証明取得が面倒なので、その期間は日本に居たことにして欲しい”などがあった。移民・難民保護法(IRPA)の第40条には“移民法の運用を誤らせるような重大な虚偽や隠蔽を行なった場合は不適格となる”という規定がある。従って前述のような申請を行なってはならない。では、過去にビザ申請却下歴があるのにうっかりオンライン申請の質問に“NO”とクリックしてしまった、前妻との間に子どもがいることを重大だと思わず申告しなかった、などの言い分は通用するのだろうか。

最近の判例(Paashazadeh v. Canada, 2015 FC 327)を見てみよう。連邦スキルワーカーから申請したこのケースは、申請者が広告・マーケティング会社からのジョブオファーを取得し、自国での2つのマーケティング会社での職務経験のみを申告し申請していた。しかしオフィサーから追加で要求された書類の提出を拒み、再度の要請でやむなく提出したところ、旅行会社でも働いていたことが発覚。最終的にIRPA第40条が適用されて申請が却下された。その後司法審査が行なわれ、申請者側は「旅行会社の職歴はスキルワーカーのポイントに何ら影響を及ぼさないので“重大な事実”には当たらない。オフィサーを騙そうという意思はなかった」と主張。しかし判事はこれを認めず訴えを棄却した。この判例では、単純なミスであろうとなかろうと“完全で、正確な、真実が”記載された申請書を提出せず審査の妨げになったという事実だけでも、十分に虚偽申請と結論づけている。ただこの場合、追加書類の要請への対応のまずさが原因とも考えられる。

一昨年の法改正により、IRPA第40条を根拠として申請を却下された場合、以前2年だった国外退去期間が5年に延長された。その間はカナダに一時滞在者としても入国できず移民申請もできない。しかし現在のExpress Entryのオンラインシステムでは、誤情報を含む内容で申請してしまいやすい。また、理解しないまま質問にとりあえずNOとクリックしてしまうこともあるだろう。5年の国外退去となると申請者側も黙ってはおらず、今後この種の訴訟が増えると予想される。

 


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